ソフトウェアの自由?
やまね:ソフトウェアの自由というのは4つの自由ですね。フリーソフトウェア財団の「フリーソフトウェアの定義」で見ることができます。できればリンク先で確認して欲しいですが、かいつまんで言えば、実行が自由にできること(第0の自由)、ソースコードを修正できること(第1の自由)、再頒布できること(第2の自由)、改良点を公開できること(第3の自由)、と。
hito:短く言うなら、「開発する人にとって、手に入るソフトウェアが自分で直せる状態が維持されてないと困るよね、だからそれを維持できるようにしよう」という感じ。
あわしろいくや:バグのあるソフトウェアを使うのは苦痛ですからな。
小林:自分で直せるだけでなく、「誰かに直してもらうことができる」「直したものを公開することができる」というのが重要ですね。
編集S:あれ、「フリーソフトウェア」以外にも、「オープンソースソフトウェア」ってありますよね。あれはナンですか?
ミズノ:いいえ、カレーです。
瀬尾浩史:ボケがベーシック過ぎまペンか……?
hito:ボケないと生きていけないらしいんで、ほっといてあげてください。
あわしろいくや:「フリーソフトウェア」に砂糖をまぶした別ブランドが「オープンソースソフトウェア」ですね。あれ、結局コレ、前回あきらめたライセンスの話につながってくんじゃないですか?
編集S:難しい内容でもおっけーです。がんばれ。
小林:ビジネス方面とうまくやっていけるように、というのが別ブランド化の理由という理解でいいでしょうか。
やまね:そんな感じかなぁ。言い出したのは、フリーソフトウェアがストールマン、オープンソースソフトウェアがエリック・レイモンドとブルース・ペレンスのコンビ。フリーソフトウェアとストールマンのイメージがちょっと強すぎたので、売り込みやすくするために名前変えてみました、って感じ。前者が1984年で、後者が1998年、っと。
あわしろいくや:オープンソースソフトウェア、たかだか10年でここまでものになったってすごいですね。まぁフリーソフトウェアの土台があったからではあるんですが。
hito:フリーソフトウェアだけでここまで広がったかなー、ということを考えると「売り込み方」って重要ですよね。
ミズノ:世界を革命する力ですよ。
あわしろいくや:いいセリフだ(ぉ
瀬尾浩史:無料なだけだとうれしくない?
やまね:うれしくないかな。FlashやAdobe Readerは企業戦略的に「タダでバラまくとうちの会社にメリットあるぞ」だけなので……。
小林:政治的な意図があるのは、否定できないところですね。それでも、無償で配る方のフリーなソフトウェアも重要です。
ミズノ:「タダで使える、良質なソフトウェア」も、Ubuntuでは重要な位置を占めてますからね。
hito:どうしてもオープンソースソフトウェアにできない、無償で使えるソフトウェア類(無線LANのファームウェアとかグラフィックドライバ)をrestrictedリポジトリにおいて、積極的に使う、というのがUbuntuの立ち位置ですね。まぁこれは妥協ではあるんですが……今のところ必要な妥協かな、と。
小林:フリーソフトウェアだと何がうれしいのか、ということを、もう少し掘り下げてみましょうか。
やまね:「インターネット越しにみんなで協力できる(かもしれない)」っていうのは答えにならない? ドラゴンボールの元気玉みたい。
小林:「ソースコードが公開されているので、世界中の技術者が知恵と労力を出し合って協力して作り上げることが可能」ということが強みとしてしばしば挙げられますが、きっと実感がないはずです。
hito:たとえばですね、「Adobe Readerみたいな無料ソフトウェア」 vs 「フリーソフトウェア」みたいな構図のバトルにすると、「無料ソフトウェアのが強いじゃん!」って話になるじゃないですか。
あわしろいくや:PDFリーダーはAdobe Reader最強のままですなぁ。
ミズノ:Skypeも置き換えられるものはないですね。
小林:オープンソースソフトウェアを使う人にとって、無料というメリットはもちろんありますね。ですが、これは「無料ソフトウェア」でも同じです。
hito:Adobe ReaderとかFlashだと、あきらかにフリーソフトウェア負けてるです。Photoshop vs Gimpも負けてるです。MS Office vs OOoでも負けてるです……ってのが、ユーザーから見た構図だと思うのですよ。
やまね:言い切るかー。でも言い切らないと話進まないしな。
hito:まぁ、PhotoshopとかMS Officeは有料のソフトウェアなんで、微妙に次元が違ってくるわけですが。
瀬尾浩史:Photoshopないと仕事になりまペン……。
ミズノ:ううむ。使うだけの人の興味は「使い物になるか」と「使うのにいくら必要か」だけなのは仕方ないかなーと思います。例えばベンダロックイン(注3)の回避とかって、一般ユーザに関係ないですし。
やまね:タダは利用者に取ってはうれしい。でも必須じゃないなぁ。
あわしろいくや:タダでなくても、必要なソフトウェアにはお金払いますからな。ATOKとか重要すぎます!
ミズノ:オープンソースソフトを有料で配布しても構わないので、この際値段は忘れるというのは?
小林:「特定の企業が、クローズドで開発したソフトウェアではダメなの?」と聞かれた時に、きちんと答えを出せないといけない、ということですね。それも、ユーザーから見たメリットという形でなくてはいけません。
hito:です。「オープンソースソフトウェアは、いざとなった時に自分で直せるからうれしい」とか「自分が直せるからうれしい」という回答はありえますが、それは開発者やそれに準じるパワーユーザーの視点からは正しいものの、ごく普通のユーザーにとってはどうでもいい、というのが実情だろうと思います。
やまね:難しい話ですねぇ。会社で使っていくことを考えると、「単なる無料ソフトウェア」だと困る、というのはあるのですが。作者いなくなったらどーすんの、みたいな。
ミズノ:無料でクローズドなソフトが一番怖いなあ。
小林:無料ソフトウェアとの対比に答えるのは難しいですね。
やまね:値段しか興味がない人に他のポイント説明してもなぁ。
hito:ある意味では哲学論争ですからねぇ。
(注3)
小林:「ベンダロックイン」という単語にも説明が必要ですね。おおまかな意味としては、「何らかの理由があって、特定のベンダー(メーカー)のものしか使えない状態」です。
編集S:業界内ではけっこう「悪いモノ」として扱われてる気がするんですが、これはナゼですか。
やまね:「他の選択肢がないから」というのが答えですね。他のものが選べないので、足下見られたり、サボられても文句が言えない。
hito:オープンソースであればベンダロックインにならない、というのも、厳密に考えていくと正しくはないんですけどね。もの凄く強力なエンジニアがいないと使いこなせないソフトウェアなんだけど、それを使わざるをえない、とか。
ミズノ:ベンダロックインという単語には、暗黙で「他のモノが選べないから、ダメなものを使わざるを得ない」みたいなニュアンスがありますね。
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