「フリー」ってなんだ?
小林:今回は、「フリーソフトウェアってあるじゃないですか、あれってAdobe Readerとかのことじゃないんですか?」という読者からのおたよりから始めたいと思います。
やまね:毒死矢か……。
ミズノ:また編集Sか!
編集S:そこ、ちょっとこのハリセンのサビになってもらおうか。
ミズノ:怖すぎます……ていうか、そのハリセン錆びるんですか。鉄製っ!?
あわしろいくや:まあそんなことは置いといて、Adobe Readerは「フリーなソフトウェア」ではあるものの、「フリーソフトウェア」ではないですな。
やまね:「値段がタダ」のフリーと、それ以外の「フリー」があるので混同しやすいですね。
ミズノ:無料と自由は違うので……自由なものからすると、「無料とは違うのだよ、無料とは!」みたいな。
瀬尾浩史:(ひょっこり復活して)ぐふぅ。
小林:あ、セオペンさんお帰りなさい。
ミズノ:さすがギャグキャラ、拉致されてもすぐに復活ですね!
hito:そのうち、輪転機にかけられてもポンプで空気入れたら復活とか。
瀬尾浩史:のぞむところですペン!
やまね:まぁ、この手の話をするなら、「フリーソフトウェアとは何か」って話をしないと、なんだよねぇ……。
ミズノ:日本国内では「フリーソフトウェア」という単語が、微妙な形で広がってますからね。「無料で使える」からって「フリーソフトウェアじゃない」んだよ、と。
あわしろいくや:そうではない、「自由ソフトウェア」と呼べ!!
小林:じ、自由ソフトウェア……。ソフトウェアが自由意志を持ちそうでこわいですね。
ミズノ:我々は自由ソフトウェア。お前達を同化する。抵抗は無意味だ。――ぴんぽーん。自由ソフトウェアは用法用量を守り、正しく服用してください。
瀬尾浩史:ミズノさんが壊れた……。ていうか後半が意味分かりまペン!
やまね:あ、ちなみに「我々は○○。お前達を同化する」ってのはスタートレックに出てくるボーグのセリフなのでよろしく。
編集S:きさまらのギャグはフォローがないと元ネタがわからんので気を付けれ。読者のみなさんも脱落しないでねー。
やまね:さて。「フリー」の意味が複数あるのが混乱の原因だけども。「free as free beer」(無料のビール、という意味でのフリー)と、「free as free speech」(自由な言論、という意味でのフリー)のフリーがあるので。FLOSS(Free, Libre, Open Source Software)の文脈だと後者の「自由」が重要なわけですね。
小林:具体的な例から行きましょうか。Adobe ReaderやFlash、Skypeなどは、「無料で使える、フリーソフトウェア」として『(ピー)の杜』とか『べ(ピー)』、週アスやascii.jp内でも紹介されていますね。
hito:問題のある発言は(ピー)音で隠蔽してみました。
編集S:……ハリセンを振るう機会を逃した。ちっ。
ミズノ:ところが、我々が言っているのは「無料という意味だけでなく、自由に使えるソフトウェア」の話、というあたりがポイントですね。
あわしろいくや:バイナリ(注2)で提供されているから、こちらではバグがあっても直せませんからなぁ。
hito:まー、利用許諾契約(EULA)の縛りがなければ、バイナリであってもパッチ不可能ってわけではないですが……現実的にはEULAの問題で修正できないですからねぇ。
小林:Adobe ReaderやFlash、Skypeは、「無料のビール」の意味の「フリー」ですね。無料で利用できるけれど、自由に使えるわけではありません。
hito:再配布にも制限があったりしますからね。本家本元以外で配るには明示的な許可とか契約が必要、みたいな。
やまね:で、我々が話題にしているのは、「free as free speech」の方の「フリーソフトウェア」と。ソースコードを自由に修正できて、自由に配布できて、利用の制限もない、と。
hito:「自由って言ってもよくわかりません」と読者からのおたよりが。……あれ? このおたより、なぜ話題に沿って的確にツッコんでくるんですか?
編集S:いや、その場で書いてるんで。
瀬尾浩史:正直に言わなくて良いと思いますペン……。
(注2)
編集S:「バイナリ」って単語の説明、よろ。
あわしろいくや:「ソースコードをもとに、実際に動かせるようにしたもの」ぐらいの意味ですな。
やまね:ソースコードっていうのは、「プログラムを書いたテキストファイル」だと思ってもらうのがいいかなぁ。
hito:技術的な話としては、ソースコードからバイナリを作ったり、ソースコードを修正して新しいバイナリを作るのは比較的簡単に行なえる、というのがポイントですね。逆に、バイナリを修正してバグを直したり、動作を変えたりするのはかなりの特殊技能です。
(次ページへ続く)
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