このページの本文へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第15回

老舗ATI、R100コアで羽ばたき、RADEON 9700で飛躍

2009年08月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
R100~RV 360までのATI GPUロードマップ

R100~RV 360までのATI GPUロードマップ。各項目の内容は、製品名、開発コード名、Vertexシェーダー数/Pixelパイプライン数/テクスチャーユニット数/ROP数、コア動作周波数、メモリデータレート、メモリ種別、帯域、インターフェース、ファウンダリーと製造プロセス

ATI初のDirectX 7対応GPU「R100」コア

RADEON」シリーズの初代を搭載したカードの例

「RADEON」シリーズの初代を搭載したカードの例

 そのATIが3Dゲーム向けに本腰を入れた最初の製品が、2000年7月にリリースされた「R100」コアの「RADEON 256」である。もっともこの名称はすぐに使われなくなり、「RADEON 32/64」(数値はメモリー搭載量)と表記したり、後には「RADEON 7200」といった名称で発売された。これらは同社としては初のDirectX 7対応GPUで、Hardware T&Lユニットを1基搭載している。

 このR100コアに続き、低価格向けにパイプラインを削減したのが、2001年4月に登場した「RV100」コアの「RADEON VE」である。DirectX 7準拠といいながら、RV100ではHardware T&Lも省かれてしまったので、厳密にはこれはDirectX 6相当のGPUになる。R100コアはあまり応用製品も出ないまま消え去ってしまったが、RV100コアは、これをベースにAMDの「K7」アーキテクチャーCPU向け統合グラフィックチップセット「RADEON IGP 320」が作られたほか、後にRV100がそのままモバイル向けの「Mobility RADEON」になるなど、比較的息の長いモデルであった。また、R100搭載カードにTVチューナーも積んだ「RADEON AIW」(All-In-Wonder)も後から発売されている。

「RADEON VE」搭載カードの例

「RADEON VE」搭載カードの例

 これに続くのは、DirectX 8.1に対応した「R200」コアである。2001年11月に投入されたR200コアは、「RADEON 8500」として発売されるのだが、実はこれに先んじて、R200のコアに使われている技術をフィードバックした「RV200」コアが、2000年10月に「RADEON 7500」という名称で発売開始されている。

 RADEON 7500はDirectX 7相当(Hardware T&Lも搭載)の構成で、R200のサブセットというよりは、「R200の技術でRV100を作り直した」という形に近い。要するに、RADEON 256とRADEON VEでは性能のギャップがありすぎたので、少しバリュー向け製品の性能の底上げが必要だったという事だろう。なのでコード名こそRV200となっているが、実際にはR1xx世代と同じ扱いを受ける事が多い。このRV200も、チップセット「RADEON IGP 340」に搭載されたり、テレビチューナーを搭載して「RADEON AIW VE」として発売されたりと、息が長い製品になった。

「RADEON 8500」搭載カードの例

「RADEON 8500」搭載カードの例

 話をR200に戻すと、RADEON 8500はハイエンド向けとして、NVIDIAの競合製品である「GeForce 4 Ti」シリーズとほぼ互角の性能を発揮して、やっと同じ土俵に立った。次にATIが取り掛かったのは、メインストリーム向けの製品である。まずR200をベースに、パイプラインを半減させた「RV250」というコアを開発。これを「RADEON 9000」シリーズとして2002年7月に投入する。

RADEON 9000

RADEON 9000

 さらに2003年4月には、AGP 8Xへの対応と、ファウンダリー(製造業者)を台湾UMC社に切り替えた「RV280」コアを開発。これを「RADEON 9200」シリーズとして発売する。このRADEON 9000/9200シリーズのターゲットは、言うまでもなくNVIDIAの「GeForce 2/4 MX」である。

 RV200ベースのRADEON 7500では性能的にやや見劣りしていたが、RV250/280では完全にGeForce 2/4 MXに追いついた。しかもDirectX 8.1対応(GeForce 2/4 MXはDirectX 7対応)という優位性もあり、これをフルに生かしてマーケットの切り崩しに成功する。

 もっとも、NVIDIAがこれを黙って見ていたわけではもちろんなく、さまざまな動作周波数やメモリー構成の製品を各カードベンダーが大量に出荷。ラインナップの豊富さと価格で勝負を挑む方向に切り替えた。ATI陣営もこれに対抗して、やはり大量のラインナップをそろえた結果、大量の製品が世の中に氾濫することになった。このラインナップの多さはこのあともっと激化するが、そもそもの始まりはこのRV250のあたりからではなかったかと筆者は記憶している。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン