構築作業は容易
あとからの調整もOK
3号館でのネットワーク構成図は下の図の通り。3フロアごとに1台のスイッチが設置され、UltraThin-APを集線して、バックボーンに送り込むという構成になっている。
構築作業は、メディアネットワークセンターの職員がすべて自前で行なったという。「基本的には教室内だけではなく、回廊の四隅に設置し、いわゆる死角となる部分には複数APを設置しました。距離も関係なく、AP同士の干渉を気にしないで密に設置できるため、構築は楽でした」(田村氏)と構築作業を振り返っている。
セキュリティに関しては、WindowsやMacintoshなどOS標準のIEEE 802.1x機能によって認証を行なうほか、MACアドレスフィルタリングも実施している。また、教授と学生でそれぞれESS-IDを分けているため、両者のトラフィックが混ざることはないという。エクストリコム製品については「とにかくシンプルで、構築も容易。トータルコストも安く、運用や調整をあとからいろいろ変更できる応用が利く点も、うれしいですね」と五十嵐氏は高く評価している。
安価なネットブックの導入で
トラブルも……
新3号館の導入後も、メディアネットワークセンターではエクストリコム製品の設置を進め、2009年8月には図書館をのぞくほとんどの校舎で利用可能になっている。また、従来の100Mbps対応のワイヤレススイッチに加え、ギガビット対応の「EXSW-1600」も1台導入したという。
現在、一番頭を抱えているのが、ネットブックへの対応だ。「教授の方々が授業で使うということで、安価なネットブックを導入する生徒さんが増えています。しかし、特定のネットブックの特定の機種で、無線LANがつながらないというトラブルが増えているんです」(五十嵐氏)ということ。たとえば、学生に人気なネットブックとしては、やはり軽くて手頃なアスースの「EeePC」が挙げられるが、EeePCは非常にモデルが多く、採用する部品等も機種によって異なる。そこで、特定のチップとドライバ、OSの組み合わせで、近接ではなく、7号館の向かいにある1号館の電波を拾いにいってしまい、接続が失敗してしまうというものだ。特定のAPを優先して接続しに行くという設定ができない機種も多く、かつドライバのアップデートを生徒にやらせるのも難しすぎるという状態なので、運用でカバーしているとのこと。
また、Windows XPであとから追加された形のIEEE 802.1Xのサプリカントがうまく動作しない場合等もあるという。こうした点から「XPでつなげないという生徒が駆け込んでくると、ドキッとします」(田村氏)とのことだ。
一方で、iPhoneに関しては、まったく問題なく、簡単に使える。むしろ、メディアネットワークセンターの担当がトラブル対応でPCとiPhoneを持ってつないでみると、接続できないPCのユーザーも自身のPCに問題があることを納得するという。
成城大学での無線LANの利用はますます拡大しており、五十嵐氏も今後はセキュリティ対策も必要になってくると考えている。ここらへんは住宅地内にキャンパスを抱える大学ならではの悩みといえよう。「無線LANを授業で使っていた場合、もしDoS攻撃などで切断したら、大変です。そこで、既存の環境を変えず、いたずらされている場所をすばやく特定するような不正アクセス対策は必須です」と語る。その他、学内のどのプリンタからも簡単にレポート等を出力できるオンデマンドなプリンティングソリューションの展開も考えているという。
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