ブロードバンドルータもレガシールータ
廉価なアクセスルータ製品は、WAN回線のインターフェイスが固定され、変更ができない。たとえば、WAN回線インターフェイスがISDNのBRI※1に固定された製品は「ISDNルータ」と呼ばれる。いっぽう、ミッドレンジ以上の製品では、拡張スロットにさまざまなインターフェイスボードを装着することで、多くのWAN回線に対応することが可能になっている。
※1:BRI BRI(Basic Rate Interface)は、ISDN回線の国際的なインターフェイス規格である。通信速度は144kbpsだが、日本では64kbpsのBチャネル2本と16KbpsのDチャネル1本の「2B+D」構成で提供される。また、速度128kbpsのディジタル専用線のインターフェイスとしても利用できる。
現在では、ADSLやFTTH・CATVなどによる高速なインターネット接続サービス(ブロードバンドサービス)が普及し、一般家庭やSOHOから大企業にまで導入されている。そこで利用されるブロードバンドルータも、一種のアクセスルータであり、ソフトウェアによりパケットを中継するレガシールータなのである。
ブロードバンドサービスは、通信事業者から提供されるモデムやONU※2により、ユーザーから見ればEthernetのインターフェイスで提供される。このため、ブロードバンドルータはWAN側もLAN側もRJ-45のEthernetインターフェイスしか持たず、外観は以前のローカルルータに似ている。しかし、ブロードバンドルータには「PPPoE」「DHCPクライアント」など、プロバイダと接続するための機能がWAN側のEthernetインターフェイスに備わっている(図2)。この点が、以前のローカルルータとの最大の違いだ。
※2:ONU ONU(Optical Network Unit)は、Bフレッツなどの光ファイバを媒体とする通信網の末端に設置される、光ファイバをRJ-45のEthernetインターフェイス(コネクタ)に変換する。
PPPoE(PPP over Ethernet)は、アナログ電話回線やISDN回線を経由してプロバイダに接続するためのPPP(Point to Point Protocol)を、Ethernet経由でも利用できるようにしたプロトコルだ。NTT東西が提供するフレッツADSLやBフレッツで採用されたため、日本国内で販売されるほとんどのブロードバンドルータが対応している。PPPoEでは、あらかじめユーザーIDとパスワード(プロバイダによってはサービス名も)をルータに設定しておき、これらの値によりプロバイダとの認証を行ない、IPアドレスやDNSサーバなどの情報を取得する。
(次ページ、「アドレス変換の機能」に続く)
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