ダビング時間は環境に左右される!?
ではいよいよ、録画した番組をiPhone/iPod touchにダビングする。
何はともあれApp Storeから「TVPlayer」をダウンロードしてiPhone/iPod touchにインストールしておくこと。パソコン側では、SEG CLIPを起動していなくても、タスクトレイに常駐していればOKだ。加えて、パソコンとiPhone/iPod touchを同じ無線LANアクセスポイントにつなぐことも条件だ。
ここまで設定しておけば、以降はiPhone/iPod touch側(TVPlayer)から操作できる。画面で流れを説明していこう。
サーバー接続に特別な手続きも必要なく(AppleのBonjourというプロトコルを用いることでこの部分を自動化しているようだ)、作業開始からダビング開始まで慣れれば30秒もかからない。なおこの機能はいわゆる「ダビング10」の仕組みを利用しており、iPhone/iPod touchへの転送でもダビング回数が1回分消費される。
さてダビングにかかる時間だが、マキエンタープライズのサイトには、30分の録画データの転送を1分40秒で完了という測定例が掲載されている(60分だと3分30秒)。ダビング時間はパソコン本体の処理能力と無線の接続環境に左右されるとのこと。ちなみにメーカーの検証環境は、Core2 Duo 2.0 GHz + IEEE802.11bだ。
試しにIEEE 802.11b/gの無線LANアクセスポイントを使い、MacBook Pro(Core 2 Duo T9400 2.53GHz)+ Windows Vista SP1の環境で30分番組をダビングしてみたところ1分10秒前後で終わった。一方で、Eee PC 1000HE(Atom N280 1.6GHz)+ Windows XP SP3では、同じ30分番組でも7分30秒前後と多少長くなってしまった(いずれも3回計測)。
Atomを採用したネットブックを「母艦」にした場合はややコピーに時間がかかってしまうため、より快適に使いたいときはスペックが高めのマシンを用意しておくといいだろう。手順は簡単だし、Core 2 Duoのマシンではダビング速度も十分に速い。総合的に見れば快適といえる。
通勤・通学のお供にピッタリ
SEG CLIPにはほかに、プレイステーション・ポータブル(PSP)やケータイ向けに番組をメモリーカードに書き出す機能も用意されているが、iPhone/iPod touchへの無線ダビングの方が、メモリーカード抜き差しという物理的な手間も要らず、明らかに気軽で効率もいい。
そういうわけなので、例えばiPhoneとPSPの両方を持ち歩いているユーザーでも、iPhoneへのダビングの方がおすすめだ。まあPSPの場合は、PSP+専用ワンセグチューナーを使うのが普通だろうが……。
結論としては、「ワンセグのリアルタイム視聴にはこだわらない」「通勤・通学の空き時間を録画番組の消化で有意義に過ごしたい」という、iPhone/iPod touchユーザーにぜひ注目してほしいアイテムだ。GV-SC310は6300円という価格なので、「iPhoneに乗り換えて余ったiPod touchを活用したい」という人も買いやすいだろう。
「TV&バッテリー」はリアルタイム視聴ができるが、地下やビルの中で電波状況が悪くてテレビが見られない可能性もある。SEG CLIPなら録画したデータを再生しているだけなので、そうした心配もない。また、日本のiTunes Storeはアメリカと違ってテレビ番組を売っていない。その間隙を突く、好製品といえるだろう。