急転直下!
850HXJP、暁に死す!?
さて、見学から1週間ほど経ったある日のこと。ヒキフネさんから外装の金メッキ加工が仕上がったとの連絡を受け、出来立ての外装を確認。素人が持ち運ぶのは一抹の不安があるため、別途ケースでお送りいただくお願いをして編集部に戻ったところ、デスクが大慌てで近寄ってきた。
【編集部員】 金メッキの出来は完璧ですよ!
【デスク】 いや、その件についてだけど……どうもSILVER認証になったらしい。
【編集部員】 は?
【デスク】 さっきリリースが届いて、「CMPSU-750HXJP」と「CMPSU-850HXJP」の80PLUS認証を、GOLDからSILVERに変更したって。
【編集部員】 ( ゚д゚)
代理店経由で届いた突然の凶報(関連記事)に編集部は騒然。まずは詳報を仕入れるべしと、あわてて連絡をとることに。
【デスク】 リリースを拝読しました。「750HXJP」と「850HXJP」の80PLUS認証がGOLDからSILVERに変わったとのことですが、いったい何が起きたんですか? これって例えるなら、いきなりガンダムがジムになっちゃったような按配ですよね。
【代理店】 いやいや、そこまでは変わってませんよ! パーフェクトジオングがジオングになった程度と考えてください。
【デスク】 なるほど。しかし、またなんでそんなことに? 80PLUS GOLDの認証自体はすでに取得したハズでは?
【代理店】 実は、「CMPSU-750HXJP」と「CMPSU-850HXJP」は元々、80PLUS SILVERを目指して作られた製品なのです。ところがコルセアの開発陣が持てる技術を注いだ結果、完成した電源ユニットは80PLUS GOLD相当の能力を持つに至った、という経緯があります。
【デスク】 おお、設計スペックを上回る能力を持った機体! それは燃える展開ですね。ジムを作るつもりが、出来上がってみたらガンダムだったと。
【代理店】 ……もしかして、お台場に行ってきました?
【デスク】 先ほど潮風公園から戻ってきたところでして。ただ、今の話を聞く限り、80PLUS SILVER認証に変える理由が見当たりませんが。
【代理店】 問題は量産体制なのです。認証を受けた個体は確かにGOLD相当の能力を持っていましたが、そもそもコルセアはSILVERを目指していましたから、工場のラインもSILVERを量産する前提で整っています。ですから、その状態で量産を開始してしまうと……。
【デスク】 GOLDのスペックに達しない個体が出来てしまう可能性も否めない、と。例えるならガンダムを量産しているのに、たまに頭だけジムの機体が混じってしまうかもしれないということですね、わかります。
【代理店】 その例えでわかられるのもどうかと思いますが、まあそんなところです。
まさに急転直下。
今回の計画は、「CMPSU-850HXJP」が80PLUS GOLD認証を取得していることが大前提である。SILVER認証への変更となれば、その前提が崩れてしまう。我々の計画は暗礁に乗り上げた格好となった。金メッキの見積もりを手に頭を抱えるデスク。どうオチを付ければいいのかと空を仰ぐ原稿担当。850HXJP黄金化計画は頓挫したかに思えた。
が、そのとき。
【編集長】 我らが「CMPSU-850HXJP」の80PLUS GOLD認証は幻となった。これは我々の敗北を意味するのか? 否! 始まりなのだ! 今日まで戦い抜いてこられたのはなぜか! それは我々ASCII.jpの戦いが正義だからだ! 諸君らが愛してくれた「CMPSU-850HXJP」は死んだ(代理店註:死んでません)。何故だ! 今こそ悲しみを怒りに変えて立てよ国民よ! PC自作erの優良種たる我らこそが人類の正しき未来を救う事が出来うるのである。ジークコルセア! ジークコルセア!
……そうだ。SILVER認証となってしまったが、「CMPSU-850HXJP」のスペックがGOLD相当であることに違いはない。SILVERであるにもかかわらずGOLDの能力を持つ(個体が多数存在する)のだから、ユーザーにとってこれほど“おいしい”製品はないだろう。ならば我々はこの計画を完遂し、是が非でも「CMPSU-850HXJP」の“黄金の実力”を満天下に示す必要がある。
どこかで聞いたような編集長の演説によって計画は続行。仕切り直しだ。これは弔い合戦である!(代理店註:死んでません)
再度盛り上がってきたところでヒキフネさんからタイミングよく、金メッキ化された外装一式が到着。急遽、皆で鑑賞会を開くことに。
「目の前にあると圧倒される」
「これ、PCケースは透明以外ありえないよね」
「むしろ電源ユニットだけ別途飾るべき」
「ダルマどかして神棚に祭ろうぜ」
などなど、編集部員からの感想も上々。素晴らしい出来に意気上がる我々はさっそく組み上げを開始したのだが、いざ外装を装着する段になって重大な問題が発生した。
今回、外装を締め上げるネジにも金メッキを施したのだが、この金メッキネジをプラスドライバーで回すと、十字の部分に付着している金を削ってしまう恐れが発覚したのである。
いったいどうしたものかと悩んだ結果、薄い布を間に一枚噛ました上ですべてのネジを均等に締め上げることに決定。おっかなびっくりではあったが、作業を見守る編集長からの「削った金の価格分は給料から差っぴくからな」との暖かい応援もあり、なんとか再度組み上げることに成功。
ここに、真の80PLUS GOLD認証“相当”電源「CMPSU-850HXJP 改」がその姿を現した。その神々しい雄姿、次のページでとくとご覧あれ。
(次ページへ続く)