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幻の80PLUS GOLD電源を金メッキ! これが真のGOLD認証だ

2009年08月22日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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おとなの社会科見学
「メッキ加工ってこんな仕事」

 ここで、せっかく国内有数のメッキ加工会社にお願いするならば、そのお仕事風景も見てみたいということで、無理を言ってメッキ加工の現場を拝見させてもらった。ちょっとした、おとなの社会科見学である。

メッキ加工を行なうヒキフネ第一工場。普段入れない場所に入れてもらえるのは、大人になってもワクワクするものだ

メッキ加工の現場を見学。無数に並んでいるのはフタを取り払った縦置型洗濯機……ではなく、素材の洗浄や加工に使われる浴槽だ。皆同じように見えるが、すべて異なる役割を与えられている

メッキを施す製品によってそれぞれ使用する浴槽も変わるので、並び順に浸していくのではなく、何箇所もの浴槽を行ったり来たりすることになる

 メッキ加工とは大雑把に言って“素材を金属の膜で覆う”こと。その方法にはいくつもの種類があり、また素材を覆う金属も金や銅、ニッケルなど多岐にわたる。ヒキフネでは数百種類の仕様が存在するという。
 金メッキを施すには、素材の研磨から始まって治具がけ(ラッキング)、脱脂、水洗、活性化を数十段階に分けて行なった上で、まず銅メッキを施し、その上をニッケルメッキで覆い、その上にやっと本命の金メッキを施す、という順番になる。それぞれの工程も細かく分かれているので非常に手間のかかる作業だということがわかるだろう。中村氏によれば、長大なラインを整えて全自動でメッキ加工を行なう工場も存在するが、ヒキフネで扱う製品は精度を要求されるものが多いため、すべて技能士による手作業となっている。
 さて、今回見学するのは金属製シールへの金メッキ加工の最終段階、そして逆に金メッキを剥がす工程の2種類だ。さっそく写真で見ていこう。

金メッキを施す最終工程。写真は、ホンダ車のアフターパーツで有名な無限ブランドの金属製シール。すでにニッケルメッキを施した状態で、この上から金メッキを施す

まずは数個の浴槽を行ったり来たりしながら洗浄を繰り返す

金メッキ自体は数十秒で済む作業だが、浴槽内での手の振り方ひとつで出来上がりに差が出るという。金メッキの厚さは0.1ミクロン以下と非常に薄く、その厚さを均一に仕上げられるかはひとえに技能士の腕にかかっている

わずか40秒ほどで光り輝く金メッキシールが完成!

間髪入れずに余分な金成分を洗い流す。浴槽内には金が沈殿しているので、これらの水は残さず専門業者が回収し、リサイクルに回す

 次に見学するのは金メッキを剥がす作業。製品はゴルフクラブのヘッド部分のようだ。なぜわざわざ剥がすのかといえば、ボールが触れる面のみに金メッキを施したいから。まず全体を金メッキし、次にボールが触れる面をマスキング、最終段階として残りの面に付着した金メッキを剥がす、というわけだ。

全体が金メッキされたヘッド部分。手前の黒い面がマスキングされている。ちなみに、ヘッドを固定しているアンテナのような器具は「治具」と呼ばれるもので、その種類は1000以上にも及ぶ。これは製品ごとに異なった形の治具が必要なためで、すべてに識別番号が振られ、管理されている。

金メッキを剥がすための浴槽。剥がすといっても研磨するわけではなく、専用の液体で剥離させる。よく見ると奥の浴槽は色が濃い。それだけ金成分が多く溶け出しているということだろう

浴槽に漬けて15秒ほど経ったヘッド部分。周縁部はまだ残っているが、平面の金メッキは完全に剥がれている。ということは、金メッキを施す際も周縁部と平面では覆われる時間に差が出るということだ。それを手の振りだけで均一に仕上げる技能士の技がどれほど高度か理解できるというもの。しかもミクロン以下の厚さを管理しているのだから恐れ入る

マスキング部分以外を完全に剥がした状態。この後、洗浄→乾燥の工程が待っている

(次ページへ続く)

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