作家ブースでは出展経験アリ
サンリオ本社が入っていけないところを狙った
同社がオタク系のイベントに参加するのは、実は今回が初めてのことではない。3年前から「マジカルりおんちゃん」というシリーズで、自社名義の「同人誌」を作り、「作家ブース」で販売をしていたのだ。
ハローキティをはじめ、「バッドばつ丸」、「シナモロール」などのキャラクターをモチーフにした衣装を身につけたキャラクターが並ぶ。この「マジカルりおんちゃん」にはすでに中国からライセンスの引き合いが来ているという。
とはいえ、企業ブースに出展するのは今回の「ハローキティといっしょ!」が初めてのこと。「勝手が分からず、間違えて物販を外税にしてしまい、『これが1575円だから……』と釣り銭の処理に追われ、お客様にはご迷惑をおかけしてしまいました」と矢野氏は話す。
そういった背景もあり、今回の話は完全に子会社独自の判断としてのもの。もちろんサンリオ本社もチェックはするが、本社側としてはなかなか入っていきづらいマーケットに「ハローキティ」というキャラクターの柔軟性を活かして踏み込みたいのだという。
「キティって本当に何でもやっちゃうね」
今回のプロジェクトに踏み切れたのは「キティだからこそ」とも矢野氏は話す。他のキャラクターと異なり、キティはもはやブランドそのもの。バービー人形とコラボレーションしたり、人気ブランドのバッグとコラボレートするなど、ファッションブランドという側面も強い。キティグッズを身につけた人々は「キティラー」と呼ばれ、90年代にブームを生んだ。
「ご当地キティなどの『コスプレしているキティ』を見たとき、『キティって本当に何でもやっちゃうね』と思うことがあったんですよ。そんなにキティを使うとすれば、グッズ化してしまった方が早いのではないかと思ったんです。サンリオの中でキティ以外にこれが出来るキャラクターはいないでしょうね」
キティそのものを擬人化してしまうと「これがキティなの?」とオリジナルのキティを愛するファンたちから疑問の声が上がる。そうではなくあくまで「キティラー」をキャラクター化することで、あくまでキティは登場するグッズとして扱う必要があった。
そのためイラストを下敷きにして、別の作家に「そのキャラクターがどれだけキティが好きなのか」という設定のあるストーリーを作ってもらい、その「世界観」を軸にしているのだという。