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このビッグウェーブに乗っておかないと!

私が日本初Androidケータイを買った理由(前編)

2009年08月24日 10時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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HT-03Aを購入した近藤さん(右)と筧さん(左)。ともに発売日に新規契約で入手。契約中のケータイは3台
HT-03A。国内初のAndroid端末として注目を集めている。写真のブラックのほか、ホワイトも選べる

 日本初のAndroid端末となったNTTドコモの「HT-03A」。出足もなかなか好調なようだ。しかし、最新OSを搭載した新しいタイプのケータイということもあり、実際に何が魅力なのか、何に違いが出てくるかという面をもう少し知った上で購入したいという読者もいることだろう。

 そこで編集部では、発売日にHT-03Aを入手したという二人の学生を取材。Androidに興味を持ったきっかけから、他の製品では実現できない魅力まで詳しく聞いてみた。

 カタログや通り一遍のニュース記事では得られない「使っている人だから分かるディープな情報」を前編/後編の2回に分けてお届けする。



「荒削り」なところ「好きだぜ!!」


 今回取材したのは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(以下KMD)修士課程1年の近藤 誠さん。同じKMDの筧 豪太さんと一緒に、発売日の7月10日にHT-03Aを購入した。

筧さん。Androidの荒削りなところが気に入っているとのこと

 筧さんは購入したきっかけについて以下のように話す。

「Androidは発展途上のところがあって、ちょっと荒削りなところがある。そこが気に入ってますね。正直イケてない部分もあるし、注目度もまだそれほど高くはないけど、いまAndroidに触れておくと後々有利なんじゃないかと思ったんです。このビッグウェーブに乗らない手はない(笑)」

 KMDではリアルプロジェクトへの参加を重視している。約160人の学生(うち約20名が博士課程)が在籍しており、それぞれの学生が自分の決めたプロジェクトに参加して、博士号取得を目指す。プログラミングやデザインする力が求められており、プロジェクトの中でAndroidのような端末を使ってみようと考える学生も少なくない。

 同列に扱われることのあるスマートフォンにはないAndroidケータイの魅力はどこにあるのか。近藤さんに聞いた。

「僕は“革靴”と“スニーカー”の違いみたいなものかなと思ってるんです。スニーカーに比べると革靴って足になじむまで時間がかかる。しばらく使わないと痛くて使えないし、そのよさも分からない。標準の機能だけで見ると、Androidに目新しさは少ないし、とっつきにくい部分がある。でも革靴を履き慣らすように使っていくうちに手になじんでくるんです」

アプリケーションを追加することで、HT-03Aの機能はどんどん強化される

 そして「Androidのよさは、敢えて自分で履き慣らさなくても、世界中の開発者やユーザーがプラットフォームを履き慣らしてくれる可能性があること」と近藤さんは続ける。いろいろな人が使って、いろいろなアプリが登場してくれれば、それだけ面白いものに仕上がっていく。

 二人の学生がHT-03Aを手にしたのは、こうした新しい変化の過程に立ち会いたいという気持ちを強く持ったためかもしれない。



近藤さんに聞く、Androidのスゴいところ


近藤さん。ユーザーとしてはもちろん開発者としての目線でもHT-03Aについて語ってくれた

── 実機はどこで入手しましたか?

近藤 大学のすぐ側にある家電量販店で買いました。そういえば今日が発売日だ。一緒に買いにいこうって感じで筧君と一緒に。

── どのへんに魅力を感じたんでしょうか?

近藤 開発しやすさみたいなところにも注目しているんですが、使い勝手の面では、IME(日本語入力システム)を後から自由に変えられるという点が大きな魅力ですね。

 ケータイを選ぶ際に文字入力にこだわる人は多いと思います。日本語変換に○○が使えるから、端末メーカーはココ──といった感じで、機種を選ぶ人って結構多いと思うんですよ。でもAndroidは、パソコンみたいに好みに合ったIMEを選べる。端末のデザインとか、操作感とか別の軸で自由に製品を選択できるんです。

IMEがいろいろと選べる点はAndroidの魅力のひとつだ。筧さんは、オンライン辞書との連携やフリック入力が使えるIME「Simeji」を利用していた

── Androidには標準で、QWERTYタイプのソフトキーボード(Androidキーボード)が用意されていますが、HT-03Aでは国内販売するにあたって、オムロン ソフトウェアが開発した「iWnn IME for Android」を採用しました。iWnn IMEでは、ケータイの10キーのような入力方法で、予測変換も搭載されています。

近藤 実はこれ以外にもいくつかのIMEがあって、後からいろいろ選べるんです。QWERTYや10キー以外にも、フリック入力やポケベル打ち……などといった感じで、入力メソッドも変えられる。辞書もローカルに置くだけじゃなくて、ネットでユーザーが共有しあうオンライン辞書を使えたりとか。

── 文字入力との相性はケータイの操作感を決める上で非常に重要な要素ですからね。

近藤 今後の話で言えば、手書き文字認識とか、親指シフトとか、いろいろな可能性があると思います。ここまで自由に選べるっていうのは、Androidの柔軟性をあらわす典型例として強調したい部分ですよね。



ウィジェットは非常に便利、壁紙も変えられる


── Googleサービスとの連携とか、インターネットブラウジングとかいろいろ魅力はありますが、個人的にはやっぱりアプリケーションを自由に追加できる点が一番の魅力かなと思っています。

ウィジェットには、Googleサービスと連携したものやRSSリーダーなど、さまざまなものがある。クイックに情報を取得したい人に便利だ

近藤 ウィジェットはかなりよくできた仕組みだと思いますね。特に壁紙にRSSリーダーを貼れる点は便利だなと。

 使っている別の端末だと、ポケットから出してディスプレイスリープを切る→ホーム画面を出す→アプリを起動する→アプリが情報を取りに行く……って感じで、結構面倒な手順を踏まないとダメなんですよ。でも、HT-03Aの場合はデスクトップの上にウィジェットを置けるし、情報はバックグラウンドで自動的に集まってくる。スリープ解除してホーム画面を開けばすぐ内容を確認できます。

── 常に通信しているとなると、電池の持ちはどうなんだろうと少し心配になりますが。

近藤 ウィジェットの動作間隔は細かく選べるので、電池をあまり使わず、効率よく情報も取ってこれるような設定を選べば、たいていの場合は大丈夫だと思いますね。

── デスクトップには、ウィジェット以外にもアプリケーションやフォルダ、URLのショートカットなどパソコンみたいにいろいろなモノが貼れるわけですが、実際にはどんなものを貼ってますか?

近藤 便利だなと思うのは、通信のオン/オフを制御できるウィジェットですね。無線LANとかBluetoothとかは使わないときは電池を食うのですぐにオフにしたい。深い階層のメニューに降りなくても、スイッチを押す感覚で、ワンタッチで設定を切り替えられるのはとても便利だなと。あとはメモやスケジュールとか、すぐ確認したいものを貼っています。



ポケット羅針盤はよくできている


── HT-03AにはGPSや加速度センサー、地磁気センサー(電子コンパス)などいろいろなデバイスが内蔵されていますよね。地図を使うと面白そうだなと感じています。

GPSロガーは常に持ち運ぶケータイだからこそ面白いアプリケーションだ。GPSアンテナの精度が上がっているので、かばんなどに入れた状態でも使える。画面は「My Tracks」

近藤 ケータイなんかでもGPSは一般的に搭載されていますが、現在位置を知るぐらいにしか使われてない。GPSトラッカーみたいな機能が載ってくると面白いと思うんですよね。写真に位置情報を貼り付けて、どこで撮った写真かをウェブ上で共有したりとか。そのためのデバイスをわざわざカメラとは別に買っている人もいるくらいですから。HT-03AにはカメラもGPSも内蔵されているので、1台で完結します。

── 常に持ち運んでいるんで、旅行に行ってこんな風に行動したという、ライフログみたいな展開もありそうですよね。コンパスについてはどうですか?

近藤 結構精度が高くて驚いたんですよ。HT-03Aには、ポケット羅針盤っていうソフトが付いているんですが、これがとても便利なんです。標準状態では、有名な建物の情報しか入ってないのですが、後からいろいろ追加できて、自分の家まで何kmとかそういう情報も分かる(笑)。

ポケット羅針盤はドコモオリジナルアプリだポケット羅針盤の電子コンパス。写真以外にもいくつかのグラフィックスが選べるカメラが傾いていないかどうかを確かめる水平器の機能も

── ポケット羅針盤には方角が分かる「コンパス」機能だけではなくて、星座の名前が分かったり、カメラの水平器みたいな機能も含まれてますよね。いま話していたのは端末の向きを変えると、その先にどんな建物があるかが分かる「ランドマーク」機能のことですね。

近藤 はい。ちょっと裏技的な使い方になっちゃうんですけど、旅先でホテルの場所とかを覚えさせておくと、後で帰ってくるときにラクとか。集合場所のマーキングなんかにも使えますよね。

星座の名前を知ることができるこちらは端末を向けている方向にどんなランドマークがあるかが分かる表示機能ランドマークは自分で追加することもできる

── なるほど! 簡易ナビができるから、旅行なんかで便利かも。

近藤 ポケット羅針盤が結構すごいなと思ったのは、アプリ連携がきちんとサポートされている点ですね。ほかのアプリで取得した場所の情報を送ってデータ登録できる。これもAndroidならではじゃないでしょうか。高度で柔軟なアプリ間連携ができるんです。

── 機能に対応したアプリケーションが自動で選ばれる、インテント機能と呼ばれているものですね。

近藤 例えば、画像を開けと操作すると、Android上にインストールされているアプリケーションのうちビューアー的な機能を持ったものが出てくる。テキストを選択したら「検索フィールドに入れる」「メールで送信する」「Twitterにポストする」「辞書で検索する」とか。対応する機能を持っているアプリが自己申告する。パソコンにもこういう機能はあるけど、ここまで分かりやすくはないですよね。



Androidはとても素性のいいOS


── そういう意味では標準の機能よりもアプリケーションを追加して真価が発揮されるということですかねぇ。

近藤 ちょっと話がそれますが、Androidマーケットからソフトをダウンロードするときもバックグラウンドでやってくれるんです。左上の通知バーが意外と便利なんですよね。割と気付いてる人が少ないんですが、左隅のアイコンを指先でちょっとスライドさせると……。

左上の通知領域にはダウンロード状況や常駐アプリなどが入っている

── おお、ピロピロとメニューが出てくる!(笑)

近藤 バックグラウンドでインストールしてくれてるので、後でここからアイコンをタップするとアプリが起動できるんですね。ここに常駐させるアプリケーションなんかも置けるんですよ。

── 例えばどんなアプリケーションですか。

Twidroid。日本でも最近話題沸騰中のミニブログサービス「Twitter」用クライアントだ

近藤 Twitterクライアントの「Twidroid」なんかは便利ですね。定期的にリロードして最新の書き込みを取ってきてくれます。もっとも標準の5分だとあっという間に電池がなくなっちゃうんで、1時間ぐらいの間隔にしたほうがいいと思いますが。

── こういうマルチタスク感はいいですね。

近藤 例えば、メールなんかに貼ってあるURLをクリックするとブラウザが立ち上がりますよね。このあたりの流れもスムーズです。ページを表示した後に別のアプリケーションを起動してもブラウザのインスタンスは死んでいない。「戻る」ボタンを押すと直前のプロセスが復活します。

 擬似的にマルチタスクを実現しているんじゃなくて、本物のマルチタスクなんですね。実際に利用できるアプリは1個ずつなんですが、最後に起動したものがスタック的に、画面の一番上にたまっていく感覚で、その背後では別のアプリケーションがしっかり動いている。

 こういう素性のよさがAndroidにはあって、将来のケータイのOSはこうあるべきなんだろうなってところがうまく押さえられているように感じます。

(後編に続く)

※iモードには非対応です。

※HT-03Aは、ソフトウェアのアップデートなど一部自動的に通信を行う仕様となっております。このため、「Biz・ホーダイ ダブル」などのパケット定額サービスのご利用を強くお奨めします(なお、「Biz・ホーダイ ダブル」ご契約の場合、短期間で上限額に達します)。また、海外でのご利用などにより従量制対応アクセスポイントに設定変更されたまま帰国されますと、自動でソフトウェアのアップデートが行われた際にパケット通信料が高額になる場合がありますので、必ず帰国前にBiz・ホーダイ定額対応アクセスポイントに設定変更してください。

※掲載の内容は、2009年8月24日現在の情報です。

※Androidマーケット内のアプリは、アップデートなどにより掲載の情報と異なる場合があります。

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