ブラック★ロックシューター、歌詞はイメージ通り
「ピッタリすぎて意味が分からなかった」
―― ブラック★ロックシューターのPVはryoさんからご連絡を受けたのが製作のきっかけだったというお話ですが、ryoさんの存在はご存知でしたか。
huke はい。その頃に「メルト」※2がすごいことになっていたのは知っていたので、連絡をもらったとき、「ええっ! うわあ!」と驚きました(笑)。
※2 メルト:ryo氏が2007年12月に投稿した動画「初音ミクがオリジナル曲を歌ってくれたよ『メルト』」のこと。現在、400万再生を超える人気作となっている。他のユーザーによる様々なリミックス動画が投稿されたことも話題を呼んだ
―― 絵のイメージとryoさんが作られた曲のイメージが同じだったとブログで拝見しました。元々あの絵には設定があったのですか。
huke いや、設定はないんです。頭の中にあったのは、女の子が武器を持っている絵を描こうというだけだったんですね。イメージがピッタリというのは、あの絵に込めたイメージじゃなくて、あの絵を描いている時の自分の状況が曲の歌詞とピッタリだったんです。
自分がネガティブなところから立ち直ったのがあの絵で、まさに歌詞の内容がそんな感じでした。そのイメージをryoさんがあの絵から感じ取ってあの歌詞を付けてくれたんだとびっくりしましたね。ピッタリすぎて意味が分からなかったです(笑)。
―― PVには何枚ものイラストが使われていました、これは動画用に描き下ろしたのですか。
huke 基本的にはそうですね。PVのためではないものもありますが、結果的にサビの部分で上手く使えました。動画用に描いたものは動かすために髪、胴体、フード、という感じでレイヤーを全て分割してあります。
―― 実際にPVをアップして、ユーザーの反応を見てどう感じましたか。
huke まず(反応が)「早いなあ」ってところで驚いて、そして良かったと思いましたね。全体では半年間かけて作りました。アップ直前の2週間くらいは、もう1~2時間くらいの寝起きを繰り返して作業していました。動画の制作は初めてだったので、AE(Adobe After Effect)のマニュアルを見ながら作ってましたよ。
―― そこまでして動画を作るのには、何か理由があったんですか?
huke とにかく面白そうで、やりたいっていう純粋な思いがありましたね。それとその頃、supercellの曲で「ワールドイズマイン」などのPVが出来ていました。その流れで自分だけPVなしで出すのはつらいモノがありましたね。この流れは止められないと思って(笑)。
―― 映像作品で好きなものはありますか?
huke 中澤一登さんがアニメで作ったASIAN KUNG-FU GENERATIONのPV※3を見ながら、こんなの作りたいな、でもムリだろうなって思っていました(笑)。でも、あの映像を見ながら「タイミングってこういう感じでつかむんだ」というのがヒントになりましたね。
音との切り替えるタイミングとか、テンポを早くしたりというのは、そのPVを見たりして研究しました。一番最初のタイトル出す所なんかは他に5~6案作って、全部ボツにして、一番最後に出てきたのが、今のブラック★ロックシューターの映像です。
―― 逆に、hukeさんが絵以外のものから影響を受けたものはありますか。
huke 僕自身はあまり関われてないですが、曲を聴いて付けたいな、というものはかなりありますね。ニコニコ動画とかでPVを作って公開してる方とかを見てると、凄いなあ、完成度高いなあと思って、うらやましく思っています。他の方からもPV制作の依頼は来るんですけど、今は時間がなくて出来ていないですね。
※3 ASIAN KUNG-FU GENERATIONのPV:「新しい世界」中澤一登監督 STUDIO4℃制作