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仕事で使える!Firefox便利ワザ 〜夏休み3日間集中講座〜 第1回

Firefox 3.5をビジネスに使う基本ワザ

2009年08月13日 06時00分更新

文● 野々下裕子

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進化するWebブラウザ機能を先取りしてみる

 もしあなたが、新しいネットサービスやWebアプリケーション開発の企画を立てるのであれば、Firefox 3.5に搭載されている数々の新機能が役に立つかもしれない。FirefoxはこれからのWebブラウザの標準機能となるであろうHTML5と呼ばれる最新のWeb標準機能を先取りして搭載しているので、ちょっと先のWeb体験ができるのだ。

 たとえば「位置情報通知機能」は、プラグインなどを使わずに、IPアドレスや無線LANなどからWebブラウザの利用者の場所を推定する機能で、地図サービスにアクセスするだけで現在の周辺情報が表示されたり、現在地から目的地への移動経路を調べるといったことが簡単にできる。こうした位置情報通知機能を使うための「Geolocation API」も公開されており、すでにそれを利用したサービスがいくつか登場しはじめている。

GoogleマップとFirefox 3.5

GoogleマップはFirefox 3.5でアクセスすると縮尺スケールの上にアイコンが表示され、クリックすると現在地が自動的に表示される

 地図情報ではGoogleマップが「Geolocation API」に対応している。GoogleマップにFirefox 3.5でアクセスすると、縮尺のスケールの上に丸が書かれたアイコンが表示される。そこをクリックすると、Webブラウザに現在地を通知するかどうかを確認するメッセージが表示され、許可すると現在地が自動的に表示される。位置情報を知られるとなるとプライバシーが気になるところだが、通知するかどうかは、サイトや毎回のセッションごとに聞かれるので安心だ。

 Webブラウザはプラグインをインストールしていろいろな機能が追加できるようになっている。代表的なものにFlashプラグインなどがあるが、最近、一部セキュリティに問題があることなどが取り沙汰されている。それ以前に、不具合を避けるために社内のパソコンではプラグインをインストールしないようルールが定められているケースも少なくない。いずれにしてもプラグインのインストールはユーザーにとっては面倒でもあり、Firefoxではなるべくプラグインを使わずにすむWeb環境を提供する方向で開発が進められている。

HTML5のビデオタグ

Firefox 3.5で対応したHTML5のビデオタグを利用すると、動画を再生中に拡大縮小したり、回転したり、キャプションをリアルタイムでインサートするといったことができる

 Web上で動画やアニメーションを動かすことについては、SVG、Canvas、Ogg Theora、などオープンソースで開発されたオープンフォーマットが注目を集めている。これらは単なる動画像の再生だけでなく、表示サイズを自由に変えたり、映像の内容を解析するといった新しい使い方も備わっている。これらオープンフォーマットのうちいくつかは次世代Web標準HTML5に含められているものだ。

 他にもWebデザインに合わせてフォントがダウンロードできたり、ドラッグ&ドロップAPIの提供など、Web開発者にとっても便利な機能が搭載されており、今後のWebの世界を予見する上でもFirefox 3.5を使ってみるといいだろう。

Mozilla Japanの「Discover Shiretoko」キャンペーンでは、Canvasを使ってクリック数に応じてイラストの樹が成長するバナーを配布している。バナーの樹が成長する様子は「Inter FORest」という、やはりCanvasで構築されたサイトで見られるようになっている

世界中からFirefoxが注目されている理由とは

 FirefoxというWebブラウザの存在は知っているが、使い方が難しいのでないかと思ったり、オープンソースなのでビジネスで使うにはちょっと…と敬遠していると、これからのWebの世界では乗り遅れてしまうかもしれない。たとえば、シェアについて言えば、世界では20%以上とIEに次ぐ位置にいて、欧州圏に限るとIE7を越えてトップシェアにあるのだ。国内シェアもアスキー総合研究所の調査では20%を越えており、Firefox 3.5のダウンロード数は公開から1ヶ月未満だが3000万件を越えるなど、その人気は着実に広がっている。

10億ダウンロード突破!

今年の7月末にFirefoxは総計10億ダウンロードを越え、記念のwebサイトも公開された

 最新版のFirefox 3.5の最大の特徴である処理速度の向上は、前バージョンのFirefox 3.0から2倍以上、さらにその前のFirefox 2.0から10倍以上スピードアップし、いくつかのベンチマークテストではInternet Explorer 8より速いことが証明されている。新しく登場するWebブラウザもいずれもが処理速度の向上を謳っているが、Firefoxはメモリ管理が優れており、ネットブックや古いパソコンなどメモリの少ない環境でも快適に動作する。もしクラッシュしてもそれまでの使用状態が復元できるので安心だ。

 これらはすべて、企業の方針に左右されず、ユーザーからの意見を元に世界中のエンジニアが協力するオープンソースコミュニティで開発するというスタイルが採用されているからこそ実現できるのだ。オープンソースで開発されていることに対し、企業ではネガティブな捉え方をされる場合もあるが、実際にセキュリティの脆弱性が見つかった時は早急に対処される。先日もFirefox 3.5にセキュリティ上の問題点が見つかったが、わずか48時間後に修正版がリリースされている。そうした信頼性の高さやオープンソースの良さを活かして、社内専用WebブラウザのベースにFirefoxを採用しているケースは国内でもすでにある。

 EUでは10月にリリースされるWindows 7に対し、標準で使うWebブラウザをIE以外からも選択できる画面を追加される予定があり、すでにEUで人気のあるFirefoxがさらにシェアを伸ばす機会になるかもしれない。

 いずれにしても、新しいWebの世界を見たいのであれば、Firefoxを試してみるのは悪くない選択と言えるだろう。

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