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ダイロー小隊長の「機動戦士ガンダム戦記」入魂レポート 第2回

ダイロー小隊長の「機動戦士ガンダム戦記」入魂レポート

機動戦士ガンダム戦記の生みの親に直撃!――インタビュー編

2009年09月10日 09時00分更新

文● ダイロー吉川(小隊長)

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ドラマとしての
機動戦士ガンダム戦記

 ここからは、物語としての機動戦士ガンダム戦記を追っていきたいと思う。

 機動戦士ガンダム戦記のシナリオモードは、ちょっと(いや、かなり)シブい大人のストーリーが展開される。ドラマチックだ。ということは、主人公の個性というものがかなり強いということにも繋がるわけだ。

ユーグとエリク
ユーグとエリク。ストーリーは主人公に魅力がないと面白くない。そして、ゲームの主人公が前に出ないように計算されつつ、それでも魅力的なのだ。周囲の人物との相対関係も含め、松元氏のワザが光る舞台設定である (C)創通・サンライズ

 そう言われると、「いやぁ、オレじゃなくてエリク(もしくはユーグ)が戦っているワケ?」と思いそうなものだが、実際はそうでもない。その理由のひとつは、前回お話したとおり、戦闘中のセリフが「隊長!たいちょー!」と自分を盛り上げてくれるからである。シナリオの松元氏は「ウン、確かに“ガヤ”は多いですね」と仰る。

 ガヤというのは業界用語で、戦闘中や指示の直後などにいろいろ“ガヤガヤ”と言う細かいセリフ(受け答え)のことらしい。これには、約50個ものセリフが用意されているのだそうだ。

 アニメのガンダムには、単なる一兵士がつぶやいた名言というものが存在するが、ゲーム内の“ガヤ”にも流さずしっかり聞くと、なかなか味があるのである。しかもそれが50個も用意されているので、「同じセリフばっかりで興ざめだなー」ということも起こらない。なんとなく、私の華麗なる格闘戦によってたおされる敵の無念の叫びが、今日もこだまするのである。

シナリオ担当の松元氏
シナリオ担当の松元氏

 もちろん、感情移入できる理由はガヤが多いからだけではない。松元氏は主人公の性格を綿密に考えていて、「前に出てこない」人になっているという。確かに振り返って見れば、地球連邦軍のユーグは、まあ正直無口なヤツであって、信頼はできるけれども一緒に遊んで楽しいタイプではない。さらに言えば、脇役が軽口を叩いたりすることで、いっそうユーグの“前に出ない”加減がコントラストとなって引き立つのだ。

 ジオン公国軍のエリクの場合は、“水天の涙”というとんでもない作戦を実行するだけあって意志も固いし、ドラマ部分では独白シーンも多いから、意外と心にささりはするものの、実はこちらも脇役とのコントラストで「前に出てこない」仕掛けになっている。
 たとえばエリクを取り巻く人物たちは、兄とも慕う年上のクリスト・デーアをはじめ、同年代ながら見た目は大人っぽいアイロス・バーデなど、ちょっと年齢層が高めで、翻ってみるとエリクは童顔とも言える顔立ち。尊敬されながらも周囲からは「カワイイ」と思われているフシがあり、そこいら辺で、意外と前に出てこないのである。

 ストーリー全体についてはまた、松元氏に直接お聞きしたいことがあった。テーマについてだ。ユーグは一年戦争で部下全員をなくし、これ以上部下を死なせたくないと思い、戦っている。その裏には自分でも気づかない“仲間”という存在への希求が秘められていると思う。
 エリクもまた、一年戦争の間に果たせなかった作戦にこだわり、家族と慕う“インビジブル・ナイツ”の存在意義を消さないために生きる。機動戦士ガンダム戦記の底に流れているテーマは、一年戦争への決着と、人生の再生というテーマが秘められているに違いない……と勝手に解釈して、「オレってキモいかも」と思いながらも、松元氏に疑問をぶつけた。

 松元氏は、「過去に打ち勝っていくという思いを持たせようとしたところは、シナリオ当初考えていました」という。そうして、たとえばユーグは新しい自分の居場所を見つけるわけだが、「エリクは仲間と玉砕することも考えていました。しかし、自分の思いを誰かに引き継がせるために戦うことを選んだ」(松元氏)というわけで、インビジブル・ナイツ云々というよりは、むしろ自分を含めた全員の思いみたいなものを消さないために、戦ったのだということだ。

一年戦争時のユーグ
一年戦争時、ユーグは多くの仲間の死を体験した。悲しい思いをして、彼は何故退役しなかったのか、いやできなかったのか。仲間がいた地球連邦軍という組織で、彼一人が取り残されてしまったからに違いない……とか、ストーリーモードはプレイヤーの妄想が超新星爆発を起こすくらい重厚だ (C)創通・サンライズ

 アクションゲームのシナリオというと、得てしてゲームを盛り上げるための演出の一部のように考えがちだ。しかし、機動戦士ガンダム戦記のシナリオモードは違う。それは、自分の思い出のひとつとなって、ゲームを進めていくモチベーションとして機能するのである。このドラマは、是非体験してほしい。


開発陣からプレイヤーに向けて!

 最後に、今回のインタビューに参集いただいた開発陣に、プレイヤーの皆さんに向けて一言ずついただいたのでご紹介しよう。

直井氏 いろいろなMSを使ってみてください。カスタムパーツを付ければ、水中用のMSを宇宙で使うこともできます。お気に入りのMSを育てていただければと思います。

※実際、筆者はオンラインモードで対戦していた際、月面を元気に走り回るゴッグに遭遇した。


浪川氏 オンラインに接続すると楽しみがより広がるので、ぜひオンラインにつなげてください。

※次回の記事では、オンラインモードの紹介を予定しています。


安本氏 アッガイで和んでください。癒し系です。

※アッガイの魅力については、機動戦士ガンダム戦記公式ブログ「アッガイぶらり旅」もご覧ください。


エフェクト担当した安本氏 モビルスーツの動きを担当した山本氏
エフェクト担当の土肥氏モビルスーツの動きを担当した山本氏

土肥氏 オンラインで楽しんでいただきたいですね! “オレのザク”みたいな感じで、カスタマイズしたザクで戦いましょう!


山本氏 実は、ファーストガンダムを見たのはこの企画に関わってからです。そして、ガンダムの先入観が崩れましたね。みんな、アッガイってかわいいと言うけど、(ファーストガンダムを見たら)すごく悪そうに見えるし(全員笑)。そんな、自分の受けた新しい衝撃を作品に反映したつもりです。


松元氏 戦場の臨場感を重視しました。その臨場感にどっぷり浸かって、シナリオモードで腕を磨いたなら、オンラインモードに繋いでほしいと思います。


電撃プレイステーションや週刊アスキーもチェック!

 「機動戦士ガンダム戦記」は、ASCII.jpのほか、「電撃プレイステーション」(10月号)や「週刊アスキー」(9月1日発売号)でも特集している。ゲーム攻略やリプレイなどのより詳しいレビュー記事を読みたい方は、これらも合わせてチェックしてみよう!


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