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ダイロー小隊長の「機動戦士ガンダム戦記」入魂レポート 第2回

ダイロー小隊長の「機動戦士ガンダム戦記」入魂レポート

機動戦士ガンダム戦記の生みの親に直撃!――インタビュー編

2009年09月10日 09時00分更新

文● ダイロー吉川(小隊長)

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モビルスーツの造形
リアルになりすぎないリアルさ

MSの3D CGはセル画とのバランスを考えて作っている
これ以上ないと言うくらいリアルなのに、実はセル画とのバランスを考えて作られている (C)創通・サンライズ

 機動戦士ガンダム戦記のMSはリアルだ。これは前回もお伝えしたとおり。MSのそこかしこに「コーションマーク」が入り、長年の運用によって汚れも付いている。前回の記事でその“リアルさ”についてはお伝えしたが、実はこの機動戦士ガンダム戦記では、のっぴきならない事情が、MSのモデリングに付け加えられていた

 それは、“セルとの重ね合わせ”という課題だ。機動戦士ガンダム戦記では、人物がアニメで登場する。ゲーム中、しばしアニメと3D CGの合成場面が展開されるのだが、単にMSのリアルさのみを追求してしまうと、アニメ絵の人物のすぐ横に実写=3D CGのMSが置いてあるという、違和感のある絵(あえて言うなら“ヘタな合成写真”)になってしまうのである。

 「自分たちが思っているガンダム像に近づけるためには、MS(3D CG)をセル絵に近づける必要がある」(安本氏)。だから、汚しすぎない、リアルにしすぎない。さらに、アニメで使われている金属の表現なども取り入れた。アニメで金属を表現する場合は、よくテカりのようなハイライトが入っているが、たとえばそういうことだ。これは全然気が付かなかった。いや、むしろ気が付かないように作り込まれているのである。いい意味で、ここまで騙されているとは知らなかった。――「ガンダム好きにも納得してもらいたい、という愛情ですね」(安本氏)ということなので、ぜひ製品でその動きを確認してほしい。

セルの人物と3DのMS
遠方のMSと人物が、見事にマッチしている。というか、マッチしているかどうか確認する意識すらなかった (C)創通・サンライズ
グラフィックリーダーの安本氏
グラフィックリーダーの安本氏

 アニメ作品とゲームとの関連性については、エフェクト担当の土肥氏が語ってくれた。よく知られている話だが(実は私は知らなかった)、アニメのガンダムの劇中における爆発は、「宇宙はピンク色、地上は炎」という形で色分けがなされている。機動戦士ガンダム戦記は、地上・水中・宇宙で戦うが、やはりそれぞれ爆発は色分けされているのである。このあたりは、公式ブログでも安本氏が詳しく解説している(関連サイト)。前回の記事で「月面ではレゴリスが舞う」という書いたのも、まさにその通りであり、さらに言えば水中では爆発に混じってアワが発生しているのであった。

爆光の違い
機動戦士ガンダム戦記の公式サイトより。地上(左)、宇宙(中央)、水中(右)の、3種類それぞれ、かなり表現方法が違っている (C)創通・サンライズ

 エフェクトについては、爆発だけでなくビームの表現にも注目してほしい。最初に掲出した私の質問がまさにそれである。ビームの粒子までもが再現されているのだ。

 ビームの発射時も、アニメをモチーフにしつつもゲーム表現への最適化が行なわれている。ガンダムの劇中でビームライフルやビームサーベルは、一瞬の「溜め」があってから発生する。機動戦士ガンダム戦記においても、その溜めが表現されている。
 とはいえ、そこはゲームだ。たとえば射撃した際に、アニメのように砲口にビームが溜まってから発射されてしまうのではタイムラグが発生してうまくない。だからゲームではたとえば少し横に広がりながらビームが出るといった工夫がなされている。

ビームサーベル
武装選択時にビームサーベルを選ぶと、ビームが伸びて刃が形成されるアニメーションをじっくり拝める。まるでビームが生きているかのようだ (C)創通・サンライズ

 こうしたビームの表現をじっくり確認したいのであれば、MSの武装選択画面でビームサーベルを選んでみよう。ビームが出ていないサーベルから、「シュギギギン!」とビームが発生するまでが段階を追ってよく分かる。しかも、いったん刃を形成したビームが微妙に“流れ”ていく様まで見えるはずだ。

 余談になるが、ビームサーベルといえばファーストガンダムの小説版で、ドムが初めて装備したジオン公国製のビームサーベル(のビーム)がうまく収束しきらず、ボワッと広がってしまって云々という記述があるのだが、それを思い出しながらこのビームサーベルを眺めるのも“オトナらしい楽しみ”である。


月にズゴック!?
さぁみんな、ズゴックで遊ぶのだ!

 長年ガンダムのゲームをプレイしている筆者は、ひとつのゲームを延々半年間はプレイし続けるというクセがある。機動戦士ガンダム戦記は、インターネットに繋げられるということもあってより長く遊べるだろうが、そうなってくると問題なのは自分の愛機とするMSのセレクトである。

 ガンダムゲームを長期間プレイする(私の)パターンは、だいたいこうだ。最初は用意されたシナリオをクリアし、そのつど増強されるMSに一喜一憂しているのだが、ゲームクリア後は最初から強いMSを使えるため、ついつい楽をしてガンダム系のMSでシナリオを何回も何回も攻略してしまう。そして、強いMSに飽きると、今度はザクだのジムだのという弱いMSや、ギャンなどのマニアック(でもないけど)なMSを選んでみるという次第だ。

プログラマーの直井氏と、ディレクターの浪川氏 プログラマーの直井氏(左)と、ディレクターの浪川氏

 つまり、最終的には用意された各種MSを乗りこなして、武装の違いなどを楽しみ始めるわけである。そこで、まだ発売されたばかりではあるが、シブいMSや武装などをプログラマーの直井氏とディレクターの浪川氏に尋ねた。

ズゴック大量ミサイル発射
ズゴックの大量ミサイルぶっ放しは気分爽快! これを宇宙でやっちゃったら、さらに気持ちがいいはずだ (C)創通・サンライズ

 直井氏によれば、MSはズゴック! ズゴックに宇宙用の装備やパーツを付けて、月で戦うのは最高なのだとか。ズゴックは頭部に6基のミサイルポッドを備えている。敵をロックオンしてミサイルのボタンを押し続けると、1発、2発、3発……と、順々に同時発射のミサイル数が増えていき、最終的に6発すべてが敵に向かって「ドシュドシュドシュドシュシュシュ!」っと発射されるのである。

 インタビューの後日、教えられた通りにズゴックを駆って出撃してみたのだが、これが確かに快感だった。特にオススメしたいのは、開けた場所で少し離れた敵に6発全部打ち込む攻撃である。6発のミサイルが着弾する様を存分に見られるので、それはそれは爽快だ。もっとも、全部当たるわけではなかったりするのだが、そんなときも「おおおー、ジムがとんでもないことになっている……」などと、一人ごちられるから最高である。

 また、最強の武装というものは、状況や組み合わせで変化するとのことだ。何かを加えれば何かが犠牲になるというわけ。したがって、機動戦士ガンダム戦記のコンセプト通り、「格闘系」「射撃系」「バランス系」など、複数のバリエーションを作って楽しむのがいいだろう。

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