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パッケージ版は10月22日提供

9月1日発売決定のWindows Server 2008 R2の販売戦略

2009年08月07日 09時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

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仮想化市場を2倍、Datacenterを3倍、中小サーバ市場を4倍に

 機能説明に続いては、Windows Server 2008 R2の販売戦略が紹介された。五十嵐氏によると「仮想化市場を2倍に」、「Datacenter Edition成長率を3倍に」、「中小サーバ市場を4倍に」という3つの戦略があるという。

 仮想化市場を2倍にでは、2013年までに仮想化製品出荷数を2倍にすることを目指す。そのために、多くの顧客が仮想化を使うよう、OSに中に入っている機能だけで仮想化を使えるようにしていく。また、Hyper-Vを扱えるエンジニアを1万人にまで増やすべく、トレーニング等の支援も積極的に行なっていくという。

x86サーバ出荷数と仮想化製品の割合

 2番目の販売戦略に出てくるDatacenter Edition(Windows Server 2008 R2では単に「Datacenter」)は、そもそもはハイエンドサーバにプリインストールされた状態で提供されるOEM製品であり、専用のサポートプログラムの購入も必要な特別な存在だった。しかし、その後マイクロソフトの方針が変わり、現在では

  1. 課金体系がCPU単位で課金されるCPUライセンス(他のエディションはサーバ単位で課金)
  2. (Datacenterをインストールした)サーバ上で、Windows Serverの仮想マシンを無制限に実行できる(Enterpriseは4台、Standardは1台のみ)

というライセンス上の特徴を持つ製品になり、エンドユーザーもボリュームライセンスで購入が可能となっている。

 五十嵐氏によれば、「100台のサーバを統合する場合、それを20台に統合できるのか、それとも30台必要なのか具体的な数値を見いだすのは難しい。Enterpriseでは、サーバの台数分のライセンス購入が必要なため、何本買う必要があるのか悩むことになる。しかしDatacenterであれば、100CPU分のライセンスをまず購入し、それをサーバ20台に振り分けることも、30台に振り分けることいった柔軟な運用が可能となる」という。もちろん、仮想化環境を大規模に導入するのであれば、仮想マシン数が無制限な点も大きなメリットだろう。

 こうしたことから、Datacenter Editionの対前年度比成長率は、2007年度の7%から2008年度には124%と急増。さらに、2009年度には204%に達している。ところが、これ以上の販売拡大には大きな障壁がある。それは、当初一般購入できなかったことからDatacenter Editionの認知度は低く、上記の2つのメリットも広く知られているとは言い難い状況にあることだ。

Datacenter Editionの対前年度成長率は300%を目指す。なお、マイクロソフトの会計年度は7月から始まるため、2009年度は2009年7月から2010年6月となる

 そこでマイクロソフトでは、こうしたメリットの啓蒙などDatacenter Editionの認知度向上を行なうことで、Datacenter Edition成長率を3倍に、すなわち2010年度の成長率300%を目指す。

 販売戦略3つ目中小サーバ市場を4倍にでは、国内では5%に過ぎない中小市場向けサーバ出荷構成比率を、欧米並みの20%に引き上げることを目標とする。

Windows Server 2008 R2では、Foundationの積極投入で中小サーバ市場拡大を目指す

 マイクロソフトの調査によると、従業員数が20人未満の企業は国内に130万社あり、その90%以上がデスクトップPCを導入している。ところが、サーバを導入しているのは、わずか1.6%だという。そこでマイクロソフトでは、従業委員数15名以下の企業をターゲットとする低価格エディションである、Windows Server 2008 R2 Foundationを「定番化」することで、サーバ市場自体の拡大を目指す。

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