今のプロレス界は元気が無さすぎる
大きなピザを持ってくる奴が誰もいない
―― ところでプロレス界全体もちょっと元気がないです。
猪木 もうオレは1度この業界から足を洗ったんですけどね。気がついたら、あまりに元気がなくなってしまってた。しょうがないんで、2年前にIGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)を立ち上げた。新日本プロレスという自分が立ち上げた団体があるんだけど、結局オレが議員になったときから方向が変わってしまった。誰がいい悪いは別にしてね。
オレとしてはプロレスとはこうあるべきだというこだわりがあるんですよ。強さを強調し、そこからパフォーマンスを見せるという。でもパフォーマンスが優先になってしまって、強さが二の次になってしまっている。それでも俺たちが残したもので、10年くらいは持ったんだよ。でもいきなりドーンと人気が落ちて、客が入らなくなってしまった。これが最近の状況だと思うんだよ。
オレはプロレスで育った人間だからオレが動かないとと思って始めて2年になった。プロの興業はアマチュアと違うんだから、客が入らないと仕方がない。それが人気のパラメーターになるんだから。大観衆の前で(プロレスラーに)試合をしてほしいという思いがあって、マッチ売りの少女のように1人のセールスマンとなって(笑)、こうやって頑張っていると。
―― では、プロレス界全体に元気がないのはどうしてなんでしょうか。
猪木 ピザに例えると、オレたちが東京ドームという大きなピザを作ってた頃は、(ピザの)端に誰かがいても大きな問題じゃなかった。でも、今は業界全体が小さな小皿になってしまってる。それをみんなで食い争っているのが現状じゃないかと。わかりやすくいうとね。誰も大きなピザを持ってこないんじゃないかな。
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