ネットは現実に影響を与えているもの
「文化面」にはしたくない
先月31日、産経新聞にインターネットの話題をニュースとして取り上げる「WEB面」が登場した。今後は毎週木曜日に掲載される。
同日の紙面上では、日本の政治家によるTwitterの利用、皆既日食がネットに与えた影響などを報じたほか、Twitter内でのリアルタイム中継をあらわすネット用語「tsudaる」(つだる)の解説などを掲載した。
紙面はいわゆる「トタ面」と呼ばれるニュース面の作り。経済面や政治面、社会面などと同じく、中段が入ってくるようになっている。紙面に斜めに線を引いたとき、右上に行けばいくほど既存の読者、左下にいくほどウェブのユーザーを想定した記事を配置している。
これまでであればサブカルチャーの1つとして、文化面の1記事になるはずの記事が、ニュースとして入ってくる。なぜこういった紙面作りをすることになったのか。Twitterに関するトップ記事を書いた担当デスクの池田証志氏は「国際面のようなものにしたかった」と話す。
「ネットは今まで色モノ、キワモノとして扱われていたところですが、そうではない。ネットというのは実生活と密接につながったツールで、ネットはネットという1つの世界を作っている。それは国際面のようなものだと思うんですね。アメリカが日本に影響を与えるように、ネットが現実に影響を与えているんです」
記者は5人、全員が他の紙面との兼務体制
「Web面」編集部に専従記者はいない。政治部、文化部、社会部などバラバラの担当部署から1人ずつが兼任している。人数でいえば5人の少数編成だ。
ネットはすべてのジャンルをカバーするため、「編集局を横断して作る」という考えだという。編集会議は木曜日、それぞれに得意分野のネタを振り分けている。
記者の中で自分から「書かせてくれ」と言ってくる例もある。たとえば、動画の紹介記事を書いた記者はニコニコ動画(ニコ動)のヘビーユーザー。警視庁回りの事件記者をしていたとき、夜回りしながらニコ動を見ていたというほどの「ニコ厨」ぶりだ。
通常なら土日の記事として掲載するものと考えがちだが、あえて平日にぶつけてきたのは「ニュースとして見せる」という紙面構成以外にも理由がある。それはネットが盛り上がる時間に合わせたものだ。
「ネットが盛り上がるのは週末にかけて。その前に出すことで、金曜日の夜に盛り上がるネタを提供できるのではないか」と池田氏は語る。