3.Dropboxの活用
最後は、2GBまで無料で使えるオンラインストレージ「Dropbox」の導入だ(関連リンク)。ここには先ほど触れたオフィス系の書類を保存している。
Dropboxは、オフラインでもファイルが保存できるという点で優れている。Dropboxのソフトをインストールすると、ローカルディスクに「My Dropbox」フォルダーができあがる。このフォルダーは、動作中のアプリケーションからでも、ブラウザーからでも指定して、ファイルを保存したり開くことが可能だ。
Dropboxは、インターネットに接続した際、このローカルの「My Dropbox」とオンラインストレージの中身を比較して、自動で同期してくれる。例えば、ThinkPad X200sで作成中の原稿を保存/同期しておけば、マシンをEee PC 1000HEに切り替えても作業を中断したところからすぐに始められる。
サーバー派vsクライアント派の終わりなき戦い
長年連れ添ったOutlookを止めて、作業の80%近くをクラウド系のウェブサービスに移行した。使いやすくなったかどうかを判断するにはまだ早いが、ひとつだけ言えるのは、これで今後はますます新しいクライアントPCを買い換えやすくなったということだ。
昨今ではクラウドという言葉が流行しているが、この「サーバーか? クライアントか?」という議論は、ITという言葉がこの世に生まれる前から続いている。過去にも「セキュリティ」や「クライアント資産管理」、「ネットのパフォーマンス」や「クライアントPCの重さ」といった具合に、その都度キーワードを変えて、現れては消えてを繰り返しているのだ。
今はネット全盛で、すべてがクラウド側に流れるかのように見えているが、個人的にはサーバー/クライアントの戦いはまだ勝負がついていないように思える。
その端的な例がミニノートだろう。当初、一般的なモバイルPCが持つ多くの機能をそぎ落として「超軽量で安い」という鳴り物入りで登場したにも関わらず、いつの間にか重量はそこそこ、CPUパワーもそこそこ、サイズもまあまあ、値段は安い、という別の商品に変身しながらビジネスを拡大している。ユーザーは、まだクライアントに一杯アプリを詰め込むことのできる安いモバイルPCを求めているのかもしれない。
ここまでまとめてきたように、筆者はネットブックを100%クラウド系アプリ専用マシンとして活用する予定だが、多くの人にとってはローカルアプリ専用マシンとしても問題なく使えるだろう。
サーバーサイドかクライアントサイドか? 20年以上をかけたこの大勝負には、まだまだそう簡単に結論が出そうにない。何だかんだ言っても、「サーバーだ!」「やっぱりクライアントだ!」と話が行き来しているほうが、IT産業が最も収益の上がる構図を描けるのだ。
そうした状況においてミニノートは、クラウド前提で使うクライアントPCにも、従来ながらのローカルアプリ主体で動かすモバイルPCにも使える2面性を持った「カメレオン」のような存在なのだ。
筆者紹介──T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
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