ハラジュク系をアメリカに普及中のCult jam
本国アメリカでも、トイ、キャラ造型では絶大な人気を誇るサイドショウ。そのブースの前に、日本では見慣れた萌えキャラたちがズラっと並ぶ。
「けいおん!」や「一騎当千」などの人気コンテンツを扱う、「Cult jam」のブースを発見。カウンターの横には「我々は秋葉原から来ました」という、力強いタッチで書かれた日本語が。さっそく、CEOでアートディレクターの平井さんに、コミコン、そしてアメリカの現場で感じるジャパニメーション、MANGAの現状をなどを色々伺ってみました。
「Cult jamがコミコンに出展するようになったのは4年前からです。当時はまだ日本のアニメ、MANGAバブルだったこともあり、日本のブースも多数、それもかなり大きく出展していました。特に「るろうに剣心」(米題:SAMURAI X)はカルト的な人気を博していましたね。やっぱりサムライ・キャラは強いんです。が、去年あたりから確実にバブルがはじけた感があり、「アニメが消えた!?」なんて空気感を、肌で感じていました。
おそらく、ここから向こう3年ぐらいが日本のアニメ、MANGA文化が、アメリカという土壌で根付くかどうかの正念場になるのではないでしょうか。
また我々がコミコンに出展し続ける理由は、この会場はアニメ、MANGAだけに限らず、映画やゲーム、トイなど、あらゆるポップカルチャーが同じ1つの会場でバリアフリーな状態で楽しめるからです。例えば、セクシーなタトゥーガールの横に秋葉原の萌えコーナーがあり、その横にマーベルコミックス、その向かいにスター・ウォーズといった具合に。ここでは、あらゆるポップカルチャーがボーダーレスで存在します。その中で認知されれば、やりがいありますし、勝負のしがいもありますね」
うーん、なるほど。実際に会場では、ナルトやブリーチなどの日本のアニメ、MANGAブースは大盛況で、コスプレイヤーも多数見かける。しかし、それだけを見て「海外で日本のMANGAは人気がある」というのは一部の話しで、本当にシーンが根付いたかどうかといえば、「まだまだ道のりは険しい」とシビアな意見も。
だが、日本の萌えフィギュアや、怪獣のスタチューなどが会場内で人気、かつ強烈なインパクトを放っているのも事実で、平井氏曰く、やはりそこは「MADE IN JAPAN」の強みではないかとのこと。職人気質の日本人だからこそ成せるワザが魅力なんだろう。
そんな日本独特の感性は、やはり今のアメリカ人たちにとって斬新かつ新鮮で、去年の話だが、向かいのブースでサイン会をしていたKISSのジーン・シモンズがやってきて、「クレイジー!」と大ハシャギだったとか。
さらにアメリカのオタクたち、特に30代~40代は強い女性主人公を好む傾向があるという。ここ数年で日本のMANGAがアメリカに上陸できたのも、男性主人公が大多数を占めるアメコミたちにはない魅力があったからに違いない。
平井氏も「女性が健気に戦う様は、感情移入しやすいんだと思います」と分析する。実際に女性キャラのフィギュアを、ノーマル版と血しぶきを浴びたバトル版の両バージョンをリリースしたところ、圧倒的に血しぶき版が売れまくったという。この辺は80年代にヒットした映画の女性主人公、リプリーやサラ・コナーの影響も強いのだろうか?
今アメリカではジャパニメーション、MANGAの第1次ブームは去り、これから日本人たちがどの種を撒き、それをどうアメリカ人たちと育んでいくのかが生き残る要となるという。
最後に、平井氏はこうも語ってくれた。
「今、日本にはアメリカ人を驚かせ楽しませるダンサーがいる。アメリカで生まれたヒップホップやブレクダンスが海を渡って日本にきて、それが年月を経て、生まれた時から身近にヒップホップカルチャーがある環境で育った子たちが世界中を驚かせている。
彼等は理屈なんか通り越してダンスを楽しみ、創造している。それと同じように、いつか近いうちに自分たちが驚くような、理屈を超えたMANGAを創りあげる子たちがアメリカから必ず現れるでしょう。
それまで、厳しい時代だけど儲けを先行させるのではなく、良いコンテンツを生み出し、それを受け手と大事に育んでいくのが大切なんだと思います。だって、日本のMANGA、面白いですもん!」
MADE IN JAPAN! 楽しみです!
(次ページへ続く)
この連載の記事
-
最終回
ゲーム・ホビー
コミコン2009、大盛況のうちに閉幕!【最終日】 -
第4回
ゲーム・ホビー
コミコンのディーラーブースで見たサムライ魂!【3日目】 -
第2回
ゲーム・ホビー
1日じゃ見きれない! 第40回コミコン開幕!【1日目】 -
第1回
ゲーム・ホビー
オタクに国境はない! コミコン前日のプレビューナイトに潜入! -
ゲーム・ホビー
アメリカ最大のオタクイベント「コミコン2009」レポート - この連載の一覧へ