3D表示可能なフォトフレームもセットで
今回の製品はデジタルカメラであるW1だけで構成されるものではない。液晶ビューワーの「FinePix REAL V1」や、同社DPEサービス「FUJIFILM 3D プリント」が用意されており、これらを併せて「FinePix REAL 3D System」と呼称する。
3D表示が可能なフォトフレームと言うべきものが「FinePix REAL V1」だ。搭載する8インチ液晶パネル(800×600ドット、3D表示時は400×600ドット)には偏光フィルターを用いて左右の目に別々の映像が届く方式を採用しているため、真正面からでなくても立体に見えるのが特徴だ。
xD/SDメモリーカードスロット上の画像だけでなく、赤外線通信やUSB接続でパソコンやデジタルカメラから内蔵メモリーに転送した静止画・動画を再生でき、BGM付きスライドショーや、時計・カレンダー表示など機能的には一般的なデジタルフォトフレームとなんら変わりない。
付属リモコンのほか、本体外周フレーム部には触ると青く光るタッチセンサーが配置されており、3D/2D表示の切り替えや視差量の調整などの各種操作が行なえる。液晶の明るさやコントラストはなかなかのもので、上や下から見ても輝度の反転が少ないため、縦位置に置いて使ってもよさそうだ(ただし3D表示は横位置のみ)。
2Dフォトフレームとしては画質や表示機能など、使い勝手の良い1台と言えるのだが、実際に3D表示を行なってみるとやや不満に感じるところもある。例えば偏光フィルターによって真正面でなくても3D表示ができるとはいえ、立体感が得られるのは液晶面から約60cm前後という距離の制限があり、それよりも距離が開くとモアレ状のノイズが見えてしまう。
また、左右から見てもある程度3Dに見えるものの、角度によっては立体に見えなかったり、立体感が逆に(左右に届く画像が逆に)なったりする。このため、フォトフレームとして机や棚に置いておけば部屋のどこからでも3D表示がきれいに見えるというわけにはいかない。
さらに、撮影した3D画像は被写体との距離などで視差量がまちまちなので、スライドショーで切り替えながら見ると、視点が近い画像や遠い画像が混在し、単に表示させていてもそれを見るだけで目が疲れる。見る角度や距離が一定のW1に比べると、V1は3D表示の見え方ではやや不満が残ってしまう。
普段から3D画像を表示させておくというよりは、普段は2D画像用のフォトフレームとして飾っておいて、たまにW1で撮影した3D画像を楽しむ、という使い方が良さそうだ。
なお、今回は試していないのだが、同社では紙焼き写真でも立体に見えるプリントサービス「FUJIFULM 3Dプリント」も開始する。レンチキュラーレンズのしくみで飛び出すプリントなわけだが、簡単に楽しめて配ることもできるのは楽しそうだ。