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コスト削減100本ノック 第10回

プリント環境を見直せばオフィス快適!

【10本目】今どきビジネスプリンターはコスト↓↓で効率↑↑

2009年07月29日 09時01分更新

文● 行正和義

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その4――オフィスプリンターそのものを見直し
コスト半減を目指そう!

 無駄な印刷機会をなくし、インクやトナーを薄くして印刷枚数も抑えれば、用紙やインク・トナーなどのランニングコストを低減できるのは確かだ。しかし、プリンターそのものの消費電力は減らせない。最近の家電ではいわゆる“エコ替え”がブームだが、ある程度古いOA機器も、消費電力を考えるとそろそろ買い替え時と言える。

 オフィスプリンターは長ければ10年近くも使い続けられ、主に無償保証期間が過ぎてメンテナンスコストが無視できなくなった頃が買い替えの目安と言われている。言い換えれば、故障が起きなければ買い替えのタイミングが分かりづらいのも確かだろう。

 とはいえ最新のプリンターや複合機は機能や速度面の強化に加えて、印刷実行時や待機時の電力消費もかなり違う。低消費電力設計がここ数年で大きく進化したからだ。

 具体的にキヤノンのLBPシリーズを例に挙げてスペックを比べてみよう。

製品名 LBP7700C(2009年最新モデル) LBP-2030(1997年モデル)
印刷速度 毎分30枚出力 毎分3枚出力
消費電力:動作時最大
動作時平均
待機時
スリープ時)
1250W以下
約598W
約20~48W
約1.6W
1017W以下
約348W
約208W
約29W

 印刷時の消費電力自体はむしろ増えているが、印刷速度が10倍にもアップしていることを考えれば、複数枚の印刷を考えると結果的に印刷時間は短くなり、消費電力も低く抑えられる。さらに注目すべきは待機時・スリープ時の電力が大幅に減っている点だ。もともとキヤノンのLBPはフィルム式のローラー定着によってウォームアップ時間の短縮と低消費電力が特徴としているのだが、ここ10年でさらに低減されたわけだ。

 また、最近はプリンターなどの消費電力の比較に、より実効値に近いとされる「TEC値」が使われるようになった。TEC値とは一週間(稼動・待機の5日間とスリープ・OFFの2日間)の消費電力平均を算出するもので、最大・平均の消費電力の値よりも現実に即した数値としてエコ機器の基準となりつつある。ただし、プリンターの場合は印刷枚数までは厳密に規定しておらず、高速印刷が可能なモデルは同じ時間動作しても印刷枚数が多いと判断されるため、TEC値も上がることがある。つまり、TEC値が低いほうが必ずお得というわけではない。

TEC値の考え方

TEC(Typical Electricity Consumption)
概念的な1週間(稼働とスリープ/オフが繰り返される5日間+スリープ/オフ状態の2日間)の総消費電力量(これを「TEC消費電力量」と呼ぶ)(単位:Wh)


Officejet PRO 8500 Wireless All-in-One

全色顔料系インクを採用することでくっきりした印刷や耐水性を向上させたオフィス向けインクジェット複合機「Officejet PRO 8500 Wireless All-in-One」

 ここまではページプリンターを中心に話を進めてきたが、SOHOなど小規模のビジネス用途であればインクジェットプリンターの活用も考えたい。カラーページプリンターの場合、消費電力は印刷時で最大1000W前後、動作時平均でも500Wクラスなのに対して、インクジェットならカラーでも最大で50W前後、平均では20W程度と低い。

 最近のオフィス用インクジェットプリンターは印刷速度の向上、両面など印刷機能の充実に加えて、インク消費を抑えてランニングコストを低減するなどオフィス用途でも十分なスペックを備えている。

プリンター導入ゼロ円キャンペーン

日本HPの“プリンター導入ゼロ円”キャンペーンが、日本国内でも開始された

 そのほか、初期導入時(買い替え費用)を掛けずに、最新プリンターを気軽に導入できるという、日本HPの“プリンター導入ゼロ円”にも注目だ(関連記事)。もともとプリンターはインクやトナーなどの消耗品による収益を前提に、製品本体の値段が低めに設定されているが、これをさらに推し進めて「初期導入費用ゼロ円」というビジネスモデル。毎月の印刷量を想定したインクを定額で購入することになるが、初期導入コストを分散する考え方で、トータルでのコストも低く抑えられるという。

沖データの「COREFIDO MC860dtn」

沖データの「COREFIDO MC860dtn」。カラー/モノクロ対応の複合機で、LED露光方式による頑丈な作りに加えて5年間の無償保証が得られるため、安心して使い続けられる

 “無料プリンター”ほどのインパクトはないが、沖データの主力複合機「COREFIDO」(コアフィード)シリーズでは、5年間の長期無償保証を提供している。オフィスでプリンターを使い込めば必ず内部機構が損耗してくるものだが、消耗品およびメンテナンス品(定着機やベルトユニットなど寿命のある部材)を除けば、5年間無償で修理が受けられるわけだ。一般的なページプリンターでは、トナーやドラム、紙送り機構などの調整・修理で1~3万円程度かかる。無償保証期間も多くは3年程度なので、それがより長期にわたって無償保証されるメリットは大きい。

 最後はプリンターそのものの買い替えまで踏み込んで駆け足に紹介したが、冒頭で述べたようにプリンターの経費削減は、まずランニングコストの低減が一番効果がある。プリンターを最新・省電力なものに買い替えたとしても、その点を忘れず日々の印刷のムダを減らす意識を持ち続けることが何よりの対策だろう。

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