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行っとけ! Ubuntu道場! 第3回

~師範! Ubuntuインストールしようと思います!~

2009年07月30日 16時30分更新

文● hito(Ubuntu Japanese Team) イラスト●瀬尾浩史

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Ubuntuのアップデートポリシー

小林:Ubuntuを使って頂く上では、アップデートポリシーも知って頂く必要がありそうです。

ミズノ:「一度リリースされたら、基本的にソフトウェアのバージョンアップはされない」というやつですね。

やまね:Debianだとセキュリティアップデートしか原則当てないけど、Ubuntuではそうじゃない?

あわしろいくや:「最新版で直っているものなら」バグも直ります。SRU(Stable Release Update)と言います。

hito:バグ修正やセキュリティアップデート(パッケージのアップデート)は行なわれますが、「ソフトウェアのバージョンアップ」は行なわれない、というのがミソですね。

編集S:たとえば、最近Firefox 3.5がリリースされましたけど。これは9.10まで来ない?

小林:そうですね。9.04を使っている方は、9.10まで待って頂く必要があります。

hito:なので、LTSを使うと「妙に古いバージョンのソフトウェア」を長く使う必要があります。これは使い勝手が勝手に変わらない、という意味ではいいことなんですが、最新版ソフトウェアを常に追いかけたい人にとっては物足りないかな、と。

ミズノ:そういうの気にしない人なら問題ないですかね?

あわしろいくや:自分でバージョンアップしちゃう、って手もありますよ!

瀬尾浩史:「アップデート」ってタブで設定できる中には、backports、っていうのもありますよね?

「ソフトウェア・ソース」のアップデートタブ。「プレリリースされたアップデート」と「サポートされていないアップデート」にチェックを入れるには、人柱としての覚悟と開発者なみの技量が必要とされるのだ

小林:backportsは、「最新版などで取り込まれた、新しいバージョンのソフトウェア」を含むリポジトリですね。これを使うと9.04でもFirefox 3.5を使うことはできます。ただ、「実験的」なソフトウェアが含まれていますから、うまく動かないものもあるように思います。

やまね:素人にはお勧めできない。

hito:いわゆる「人柱さん歓迎」な空間です。同じ分類にproposed、というのもありますね。これは「バグ修正・セキュリティアップデートのテスト」が行なわれるものです。ここに落ちてくるのは、いわゆるベータ版のアップデートファイルです。

ミズノ:普通の人はbackportsもproposedも有効にしちゃダメです。どっちも覚悟完了した人とか、開発者が使うものです。

小林:どうしてもUbuntuはリリースごとの違いがあるので、「アップデートすると動かなくなるソフトウェアが出る」といったことが起こりがちです。「リリースされたらアップデートされない」というのはある意味では、「安心して使える」ということでもあります。

あわしろいくや:アップデートで動かなくなるのは、頑張っても頑張りきれなくて、ってとこですな……。

ミズノ:そーゆー意味では、8.10から9.04みたいな、リリースをまたぐアップデートは割と危険な部分もありますね。

やまね:ハードウェア周りもリリース間で激しく変わったりする?(←ミラーサーバは動かしているがあんまり使ってはいない人)

hito:かなり変わります。KernelやXのバージョンが上がると、どうしてもグラフィックドライバ周りが置いてきぼりになるので……。結果として、リリースまたぐと動かなくなるハードウェアとかもありますし。

ミズノ:古いハードウェアを使おうとすると、3Dデスクトップが有効にできるドライバがない、なんてこともしばしば。それ以外はバージョンを上げた方がほとんどの場合良い結果を得られるんですけどね。

小林:ということを踏まえると、「LTSはアップデートの手間を省くために使う」、と思って頂くのがいいでしょうか。

編集S:お仕事で使う場合はLTSの方がいいってことですか?

hito:割とそうですね。半年ごとに最新のUbuntuを渡り歩きながら使おうとすると、半年に一度環境を作り直す覚悟が必要になります。普通のお仕事ではそれはキツいかと。

やまね:仕事ならLTSでアップデートの工数がかからないようにするの重要。

あわしろいくや:うちなんかLTSばっかりですよ!

hito:あと、サーバなんかではLTSの方がオススメですね。一度インストールしたらセキュリティアップデート以外したくないハズなので、一年半に一度入れ直せとか言われても困ります。

小林:一方で、いち早く新しいソフトウェアや、新しい機能を使いたければ、LTSじゃなくて最新版を追いかけたほうがいいですね

ミズノ:昨日マシン買ったんですが、サーバとして使うので、枯れてる8.04で次のLTSまで行きます。

hito:困るのは、「最新ハードウェアしかなくてLTSが動かないけど、業務用なんだ!」という場合です。この場合は「次のLTS」が出た時点で乗り換える手間が出ちゃう。

ミズノ:一応、LTSにはポイントリリース(注7)が出てるんで、「サーバ向けマシン」ならちょっと古いLTSでも使えるようになってるんですけどね。

hito:まぁポイントリリースでアップデートされるのは、HBAのドライバ(注8)だけなので、ノートや最新パーツで作った自作PCだとそうも言ってられないかもしれません。無線LANとかビデオカード周りがLTSだと動かない&最新版なら動く、ってことが結構あるので。

あわしろいくや:古いハードウェアならLTSでいいんですけどねぇ。

やまね:古いマシンでのんびりならLTSで大丈夫?

あわしろいくや:逆に、新しい方が死ぬこともありますよ!

小林:うまく動かないケースもありますね。「最新版がダメなら一つ前」を試して頂いて、それでもダメな場合はフォーラムで相談して頂くのが良いと思います。

(注7)
hito:「ポイントリリース」というのは、「パッケージをその時点の最新版にしたもの」だと思ってください。最新版のカーネルパッケージが入るのでドライバ周りもアップデートされます。
小林:先日、8.04系の最新のポイントリリースである8.04.3がリリースされましたね。予定よりも一週間遅れましたが。
編集S:アナウンスは https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-announce/2009-July/000124.html ですね!
やまね:1週間延期? いいなーその程度の延期で済んで。

(注8)
瀬尾浩史:HBAって何ですか? HBとかBとかFとかの新手の鉛筆の一種ですか?
ミズノ:HBAのドライバ? 北海道バスケットボール協会(Hokkaido Basketball Association)でメンテしてるドライバですよ?
やまね:すげーなほっかいどう!(よつば風
ミズノ:まさに試される大地!
小林:むしろミズノさんの嘘情報に試されている気分です……。
hito:「Host Bus Adaptor」の略ですね。SCSIとかSATAとかSASとかのカードや、RAIDカードなんかの総称です。
やまね:「ハードディスク繋げるもの」ぐらいで思ってもらうのがいいんじゃないかなー。

(次ページへ続く)

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