このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第53回

僧職系男子・仁鐵/蝉丸Pが奏でる「仏教の新しい魅せ方」

2009年07月27日 13時00分更新

文● 古田雄介

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「出家はあまりオススメしませんよ」

―― 坊主めくりであれニコニコ仏教講座であれ、仏教に関心を寄せる人が増えると嬉しいという感じですね。

仁鐵 そうですね。今の日本の仏教は、正直なところ、お葬式だとか死んだ後のことというイメージですけど、生きている人に関係するような思想がたくさんあります。

 最近はスリランカから来ているお坊さんが、もの凄い勢いで上座部仏教の本を出版しているんですよ。完成度が高くて興味深いのですが、そちらに飲まれてしまわないように、今みたいな感じで仏教全体のいいところを発信していけたらなあと思っています。

USTREAMでは、事務所にある機材を駆使して週に一回生放送を行っている。仁鐵氏の生の声が聞ける貴重なコンテンツだ

こちらが生放送時に使っている機材


―― そこから仏門に入ってほしいという気持ちはありますか?

仁鐵 実際、お知らせいただいた方で、出家された方が5~6人いらっしゃいますね。でも、あまりオススメはしません。修行が大変とかではなく、資格をとっても生活できるかは別問題なんですよ。

 これから宗教離れの世代になってきますから、先細りする業界という面もありますしね。「お坊さんになったら楽だ」や「税金取られないからいい」みたいな微妙に間違った理解をしているなら来るのは止めた方がいいですよと。本当に好きじゃないと続けられないと思います。


―― ちなみに、宗教に関するタブー視についての言及も読ませていただきましたが、やはりそうした反応もあるんですか?

仁鐵 伝統仏教というくくりではそれほど感じませんね。ただ、宗教というくくりになると、やっぱり一部の団体に対して良くないイメージが業界全体を覆っている印象はあります。だから、おおまかな分類で全部を否定せずに、それぞれを細かく見てもらえたらなというのはありますね。


―― 日本は宗教に関心がない人が多いですからね。宗教全般に関心が薄いと、タブー視を解くことにも興味が出ないという。難しいですね。

仁鐵 今ある日本の宗教観は明治時代、さらにいえば江戸時代から続くものなんですよね。江戸時代に本居宣長の考えで「自分には宗教はいらないけど、それで安心できる人がいるなら殊更否定する気はないよ」みたいな思想があって、それが受け入れられていましたし。

 まあ、何も仏門に入らなくてもいいので、仏教思想の面白さに興味を持ってもらえたらというのがあります。それと、宗教と聞いて脊髄反射で拒否するのではなく、宗教団体の「行動」と「思想」はイコールではないので、それぞれを比較分類してみる面白さなどに理解が深まると嬉しいですね。



筆者紹介──古田雄介


古田雄介

 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。現在、ASCII.jpの姉妹サイト「wakuteka.jp」にて、当連載50回記念特集「もっと顔の見えるインターネット」を更新中です。「古田雄介のブログ」では、皆さんのお勧めサイトを募集中です。




■関連サイト

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン