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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第81回

置くだけで写真が入る ケータイならではのフォトフレーム

2009年07月21日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ネットワークで生まれる新たなコミュニケーション

 手を触れなくても良い、というシンプルさを追求してターゲットを絞ったPhoto Vision。その存在を改めて見てみると、将来登場しうる通信機能を持ったデジタル家電の姿が透けてくるように思える。

 「フォトフレームの中には無線LANに対応した製品のほか、音声や動画を楽しめるタイプもあります。企画の段階ではビデオや音声も検討していましたが、今回はコストとシンプルさを追究しました。ただテレビ電話の機能が載ったりするとおもしろそうですね」(唐津氏)

 最近のケータイであれば、ほとんどの機種で搭載されているテレビ電話の機能もなかなか活用が進んでいないようだが、フォトフレームがテレビ電話端末として機能する姿は近い将来あり得るカタチのように思える。またフォトフレーム以外にも、ケータイの通信機能を内蔵したデジタル機器の検討が進んでいるという。

 「フォトフレームの場合、メモリーカードという媒体でデータをやりとりしていた部分を、ネットワークに置き換えるという発想の製品です。写真以外でも、現在メディアで流通しているデータをネットワークに置き換えるというのが、今後のポイントになるのではないでしょうか」(唐津氏)

 たとえば名刺は紙というリアルな存在で情報を交換しているが、これがネットワークを通じてやりとりされたらどういう変化が起きるのだろうか。Pokenというソーシャルガジェットはリアルな挨拶とデジタル上でのコミュニケーションをうまく連結する機能を持った名刺としておもしろい存在だ。CDや着うたなどを通じて聴いている音楽はどうなるのか? 動画はどうだろうか。

Poken

ソーシャルガジェットとして人気のあるPoken。大きな手の部分をPoken同士で合わせると緑に光り、挨拶をした情報をお互いに記録する。キャラクター部分はキャップになっていて、これを外してPCのUSBポートに接続すると、Pokenのウェブ上に挨拶をした相手がリストアップされ、ウェブサービス上でのコンタクトやコミュニケーションへとつなげられる

 さまざまな製品や領域、ビジネスの中で、データの流通方法に変化が起き、できるだけリテラシーやネットワークを意識せずに交換し合う環境。1人1台時代を乗り越えるためのケータイ業界の市場開拓と言われればそれまでだが、操作を覚えるのが難しくて、伝えきれなかった情報や思いが伝わる手段が生まれるなら、非常に有意義なことではないだろうか。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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