常連ユーザーはトップページにやってくる
「勤務先からアクセスしている既存ユーザーが期間Gではアクセスせず、期間Nと比較してノーリファラートラフィックが減った」という仮説は、どうやって証明したらいいでしょうか? ノーリファラートラフィックの多くが常連ユーザーだと仮定すれば、常連ユーザーはWebブラウザーに登録したブックマークを「きっかけ」としてWebサイトに訪れるでしょうから、セッション開始時に読むページはサイトトップやカテゴリートップが多くなるはずです。「ノーリファラートラフィックが減ったのは、既存ユーザーの勤務先からのアクセスが減ったから」という仮説が正しいのであれば、ブックマークに登録されているサイトトップやカテゴリートップの「閲覧開始数」も減っているはずです。
Webトラフィックはノーリファラー、参照、検索エンジンの3つに分類できますが、どの場合でも、どこかのWebページを読み始めることでセッションが始まります。各ページの閲覧開始数をコンテンツメニューの「閲覧開始ページ」レポートを見て、サイトトップやカテゴリートップの閲覧開始数が、期間Nよりも期間Gの方が減っていれば、ノーリファラートラフィックの減少は既存ユーザーがサイトトップやカテゴリートップに訪れなくなったから、と説明できそうです。
では、「サイトトップ」や「カテゴリートップ」という漠然とした概念の閲覧開始数はどうやって調べればいいのでしょうか。このあたりの事情はWebサイトによってまったく異なりますので、皆さんのWebサイトに合った方法を見つけてください。ASCII.jpの場合、通常の記事は「http://ascii.jp/elem/lll/mmm/nnn/nnnooo/」のような形式のURLになっており、必ずパス名に「/elem/」が入っています。一方、カテゴリートップ(Webプロフェッショナルであれば「http://ascii.jp/web/」)のURLは「/elem/」を含みません。つまり、「閲覧開始ページ」レポートで「次の文字を含む」「/elem/」でフィルターをかければ、セッションが記事ページから開始した数が分かり、「次の文字を含まない」「/elem/」でフィルターをかければ、セッションが記事ではないページ(ほぼサイト/カテゴリートップと思ってよい)から開始した数が分かるはずです。
サイト/カテゴリートップからの閲覧開始数
記事ページからの閲覧開始数
閲覧開始ページが記事ページなのか、記事ページでないのかという視点で期間Nと期間Gを調べると、はっきりとした傾向が浮かび上がりました。非記事ページからの閲覧開始数は47万6870から39万8483に16.44%減少しているのに対し、記事ページからの閲覧開始数は逆に60万7378から62万8185に3.43%増加していたのです。また、閲覧開始数全体に占める非記事ページの割合は、期間Nでは43.10%であるのに対し、期間Gでは38.81%に、実数では7万9375セッション分減少していることも分かります。
期間Nと期間Gのトラフィックの減少について、ここまで調べた数字を確認します。
期間Nに比べると、期間Gの
- 全体のセッション数は8万2089セッション減少した
- ノーリファラートラフィックは4万582セッション減少した
- 参照トラフィックは8330セッション増加した
- 検索エンジントラフィックは4万9839セッション減少した
- 既存ユーザーは7万3767セッション減少した
- 新規ユーザーは8321セッション減少した
- 非記事ページからの閲覧開始数は7万9375セッション減少した
- 記事ページからの閲覧開始数は2万807セッション増加した
上記の7つの指標の変化を、私なら以下のように読み解きます。
- 全体のセッション数が8万2089セッション減少したのは、既存ユーザーが訪れなかったからである
- 既存ユーザーが訪れなかったことは、既存ユーザーセッション数が7万3767セッション減少したこととして観測されている
- 既存ユーザーが訪れなかったことは、ノーリファラートラフィック(ブックマークから訪れる常連ユーザー)が4万582セッション減少したことと、検索エンジン経由で訪れる常連ユーザーが4万9839セッション減少したこととしても観測されている
- 既存ユーザーが訪れなかったことは、非記事ページ(サイト/カテゴリートップ)からの閲覧開始が7万9375セッション減少したことでも観測されている