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行っとけ! Ubuntu道場! 第2回

~師範! Ubuntuって何ですか?【後編】~

2009年07月16日 16時30分更新

文● hito(Ubuntu Japanese Team) イラスト●瀬尾浩史

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Linuxって難しい?

小林:「Ubuntuは初心者向け」という考えの構成要素として、ごく普通のWindowsユーザーの方から見ると、「Linuxは難しい」という考えがあるように思います。これはどうすればいいでしょう?

ミズノ:難しい、か。それはみんな、Windowsに慣れてるから難しいんじゃなく?

あわしろいくや:まぁ、今までと同じように使おうとしたら難しいですよね。別物と考えればそうでもない、かな?

ミズノ:確かに、自分で判断したり、考えたりするシーンはWindowsより多いし、そういう意味では難しいかもね。

hito:実際の操作は簡単なので、自称エキスパート(プロファイリング的に「VineもしくはRed Hat7~9ぐらいで挫折」)のみなさんが「Linuxはむずかしいぞむずかしいぞむずかしいぞむずかしいぞ」って布教してるのが、すぐに嘘だって分かると思います。

やまね:DebianのPotato(すごく古いバージョン)で挫折して「Debian難しい」というのと同じ構図?

小林:そのように思います。

最近の『Debian GNU/Linux』(コードネームはLenny)はLiveCDのISOイメージが用意されているので、お試しならCDを焼くだけでカンタンにできちゃうのダ! 昔とはインストール前からすでに事情が違うんですね!

ミズノ:それでも、手放しで楽ちんです、って言えるほどではないのも確かだよね。

やまね:いやぁ、どうしたらDVDのリッピングが簡単にできるのか、とかWindowsだって難しいと思うよ。Linuxだとさらにきびしー。

あわしろいくや:そりはそのとおり。

編集S:そのきびしーUbuntuで生きてますよ!

ミズノ:編集Sさんの日常作業はUbuntu上なんでしたっけ?

編集S:むしろUbuntuでUbuntuの本作ってます。

一同:おおー(ぱちぱちぱち)

瀬尾浩史:……うぶんちゅの翻訳手伝ってくれた人に、「なんでWindowsのサムネイルDBが含まれてるんだい? Ubuntuで生活すればいいじゃないかYou?」って怒られました。しくしく。

hito:Adobeアプリないと絵を描く人にはツラいですよねぇ……。同じような問題だと、日本だと「年賀状」っていうハードルもありますね。この辺はけっこう「難しい」かもしれません。

あわしろいくや:年賀状はOpenOffice.orgで頑張ってくださいよ!

ミズノ:それ、結構たいへん。

やまね:ただ、そういう特殊なアプリが必要じゃなければ、本当に初心者の人でも、結構なんとかなる? ……でも、今までと違うというのはすごく難しいことですよね。

ミズノ:基本的には、Windowsに慣れた人が、そのまんまの作法でムリにLinux使おうとしてハマるー、みたいなのが「難しさ」の正体なんじゃないかなぁと。

あわしろいくや:一度初心者に戻らないといけない、ってハードルはあるかもしれませんねぇ。

やまね:俺はWindowsをやめるぞーっ! って?

ミズノ:人間から吸血鬼に生まれ変わるぐらいの勢いで乗り換えてもらえば……。

やまね:そうか、そういう石仮面があればいいのか……。

hito:まぁ、覚悟というか、気合いみたいなものは必要ですね。

やまね:右へ習えが好きな人だと、Linuxを選択するのがそもそもイバラの道なんじゃないかなぁ。選択する、という時点で悲劇の始まり。

hito:選択肢は多いですね。色んな宗派というか、目的に対して色んなアプローチが取れちゃうし、「これが答えだ」みたいなものも決まっていない。

ミズノ:まったく作法が違うWindowsと同じように扱おうとするからうまく行かないし、自分で「これはこうやるんだ」って決めていかないといけない、と。決まったやり方に慣れた人には苦行になりそうですね。……ああそうだ、『で○るUbuntu』みたいなのがあればいいんですよ。

編集S:それは競合他社のだッ! その単語を口にするなッ!

やまね:口調が鬼軍曹になってますよ。

編集S:ああしまった。つい。

hito:比較する人って、実はみんな、「メーカー製のWindows」と、「自分で入れるUbuntu」で比較してる気がします。

ミズノ:それはある。そりゃー難しいに決まってるよ、みたいな。

小林:OSをインストールすること自体が、本当に普通の人にとっては難しいですよね。こういう対談を見ている人なら、そうでもないかもしれませんが。

ミズノ:XPのインストール、修行のレベルですよ。

あわしろいくや:Vistaはよく出来てますよ!

ミズノ:いやー、うちのXP、サービスパックのあたってない初期版なんで、インストールしようと思うと一日仕事なんですよ。

hito:結局ですね、メーカープリインストールのWindowsの難易度って、「Windowsを使いこなす難易度」でしかないんですよ。Windowsの難しさっていうのは、そういう部分でかなり薄められてる。ところがUbuntu入れよーとすると、「OSインストールの難易度+Linuxを使いこなす難易度」の足し算になって、そりゃ難しくて当たり前だ的なオチが。

小林:Ubuntuの場合は、OSというものの存在を知って、インストールしてっていうのが必要ですからね。

hito:それはけっしてLinuxの難しさじゃないはずなんですが、blogとかだと「Linuxの難しさ」になっちゃう。

あわしろいくや:あとは対応ハードウェア? プリンタとか。

やまね:Windowsの場合はメーカーが頑張ってるからなー。買う人は考えなくてもいいし。

小林:だから、企業なんかに導入されるようになって、本当に普通の人が一定数Ubuntuを使うようにならないと、「Ubuntuは難しい」というイメージは強いままじゃないかと思います。

編集S:一定数のユーザーが集まると、プリンタメーカーさんもドライバCD入れるようになる、とか?

ミズノ:Macがそういう位置ですよね。Ubuntuは、その位置につけるかもしれない。

小林:その位置を「自由に使えるソフトウェアで」狙っているのがUbuntuですね。

hito:結局、シェアが高くならないと、「ふつーの人向け」の対応がしてもらえない。たとえば、ISPからCD配ってもらって、それ入れたら設定が完了するとか、プリンタについてきたCD入れたら設定終わりでもう印刷できて、スキャナアプリも使えるようになったりとか。

やまね:ブロードバンドルーターのマニュアルに「Windowsをお使いの方・Macをお使いの方・Linuxをお使いの方」ってなれば、たぶん難しさはなくなるはず、だよね?

hito:それの解決を狙うのがbug#1だと思ってるんですが、どんなもんでそ。

ミズノ:2ちゃんなんかを見てると、Win VS. Linux って感じで、Windows撲滅を狙ってるみたいに言われるけど……。

やまね:Macと同じような位置につければいいんですよね。

ミズノ:結局、我々はもう一つの選択肢を提示したいだけなんだよ、と。別にWindowsを駆逐することは目指してないです。駆逐されるつもりもないですが。

小林:Macと同じ立ち位置って、すごく大変ですけどね。

hito:とりあえずWindowsと正面から戦うつもりは(いまのところ)Ubuntuにはなくて、単に、Linuxをはじめとするオープンソースソフトウェアにはすごい機能とかパワーがあるんだけど、あまりにもWindowsのシェアが大きすぎることで失われてしまっているので、「本来ユーザーにとって存在するはずの選択肢」を取り返そうよ、っていうのがbug#1(注5)

小林:個々のソフトウェア単位で見れば、とても優れた機能があるんですけど、OSとしてひとまとめになって、「普通の人が使える」状態とは言えなかったので、そこをなんとかしようとしているのがUbuntuプロジェクトですね、

やまね:一つの服しか着れない世界は不自由ですからね。

ミズノ:そう、色々な服を着たいですよね。

hito:卵と鶏のどっちが先にせよ、どっちかが存在しないとサイクル回らないよねー、ってことで、マークたんのマネーパワーで、そういうOSを作っちゃおう、っておはなしって理解してもらえばいーんですかね。>Ubuntu

(注5)
前回記事を参照すれば、キミもこのバグを再現できるハズ!


(次ページへ続く)

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