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東京国際ブックフェアは電子書籍の見本市に?

2009年07月15日 20時00分更新

文● 千葉英寿

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「読むだけが読書ではない」
電子書籍の草分け、ボブ・スタイン氏が語る

 来日していた米国Night Kitchen社のBob Stein(ボブ・スタイン)氏も講演を行なった。スタイン氏はNight Kitchen社の前身であるVoyager社の創始者だ。

日米電子書籍の父。「ふたりとも禿頭で似ている、兄弟みたいでしょう」と親友のナイト・キッチン社のボブ・スタイン氏(右)を紹介するボイジャーの萩野正昭氏(左)

新しい時代の本を常に追い求めてきたボブ・スタイン氏

 スタイン氏は「ある本に対して、ネットワークを介して複数の人々が関わり、意見を交換するという事が起きており、『本を読む』ことの定義が変化しつつある。同じ本を読んでいる同士で意見をやり取りしたり、検索をしたりする事を含めた事が、本を読むということになっているのではないか。ネットワークを得た事で、 本を読むという事はソーシャル・エクスペリエンスになった」と語った。スタイン氏は自ら開発しているSophie Readerを紹介しつつ、講演を行なった。

スタイン氏の講演で紹介されたSophie Reader。左が書籍で、右に読者のコメントが寄せられている。読む事だけがこれからの読書ではない

大日本スクリーンのブースで紹介されていたヒラギノフォントを採用した、株式会社物書堂のiPhone/iPod touch用辞書ソフト『大辞林』。「ヒラギノ明朝体 W3 ProN」を搭載しており、独自のテキストレイアウトエンジンでより美しい縦書きで表現している

 このほか、「デジタル パブリッシング フェア」ゾーンでは、電子出版におけるさまざまな技術やソリューションが展示されていた。電子書籍の表示には視認性、可読性の高いフォントが不可欠だが、この分野でもユニバーサルデザインのフォントデザインが重視されてきている。

 イワタは2年前からユニバーサルデザイン書体を提供しており、モリサワは今秋、新規にユニバーサルデザイン書体をリリースする。それに対し、大日本スクリーン製造はiPhone 3Gに搭載されたヒラギノフォントをアピールし、ユニバーサルデザイン対応のヒラギノフォントなどの開発を表明していた。

 また、モリサワは大日本印刷株式会社がかねてよりデジタル化を進めていた活字時代からの名書体である「秀英体明朝」4書体を、今秋より提供するとした。

モリサワは大日本印刷の秀英体明朝を紹介していた。UD書体同様、今秋、モリサワパスポートを通じて提供を行なう

株式会社ISAOは、米国においてすでにサービスがスタートしているアドビのオンデマンドリッチメディアプラットフォーム「Adobe Scene7」を、国内最初の代理店として紹介していた

オンラインでごく簡単な操作で色を変えたりできるデモを行なっていた。出版社などコンテンツを提供する側は、一定の作業であれば外注に頼らず、社内でも作業が行なえる可能性を持っている。逆にデザイン性をあまり要求されていない制作会社にとってはいずれ脅威になる分野かもしれない

沖データが紹介していた印刷とデジタルコンテンツを結ぶユニークなソリューション『Grid Layouter Suite』。ペンタイプのスキャナー、Gスキャナーを印刷物にあてると……

無数の極小ドットパターンを読み込み……

リンクされたデジタルコンテンツをコントロールできる。沖データでは約300兆のコードパターンを発行できるGrid Onputに対応したプリンタ「C8800dn」をあわせて紹介していた。Grid Layouter Suiteのドットパターンはカーボンを使った特殊なものだが、今後はMICROLINE 910PSのようにDTP制作でもおなじみの機種も使えるようになるようだ

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