「HOLGA」っぽい雰囲気を楽しめる
レンズ自体の焦点距離は約50㎜だが、APS-Cサイズのカメラに装着すると75㎜相当になるのでポートレート向きといえる。
サンプル撮影その1
レンズ開放f値はf2.0と明るいが、もともとレンズ収差を考慮して作られているレンズではないので開放f値で撮影すると中央部以外の周辺部に向かって画像が見事に流れてしまう。
レンズ2枚構成でマルチコートのダブルグラスオプティックのレンズユニットを使用すると「周辺が流れて面白い」程度で済むが、プラスチックオプティックのレンズユニットを使用すると中心の画像も甘く「モヤモヤだなぁ」という印象を受ける。
サンプル撮影その2
ただ、以前に流行った中国製の低価格カメラ「HOLGA」などのレンズもプラスチック製で、似た雰囲気を再現することができる。さらに、蛇腹部分が樹脂製で上下左右に曲げることができるので、光軸が変化してピントの合う位置が中央部でなく色々と変化する。
この組み合わせからくる楽しさは最新のレンズでは味わえないものがある。一時期、フィルムカメラがメインだった頃も、わざわざ昔のベス単(コダック製の蛇腹カメラ)を探してきてレンズだけ加工し、一眼レフに使用できるように改造する風潮があったのを思い出す。
当時でさえ、レンズの描写にシャープでコントラストが強すぎると感じるユーザー層があったのは確かで、懐古趣味だけではなく、ある種フィルムカメラの成熟期だった。そして今このLENSBABYはデジタルカメラの成熟期を迎えて出てきたものといえるのかもしれない。