「レイヤー機能」も使える紙のキャンバス
── 動画の制作環境を教えていただけないでしょうか。パソコンは何をお使いですか?
わP:実は細かいことはよく分からないんです。mixiの日記やコミュニティで「新しいパソコンが欲しいです」と聞いて情報を集めて、九十九電機で「速いやつ」と注文しました。分からないことはこうしてファンの方に丸投げしています。
── 音楽制作ソフトは何ですか?
わP:DAW(音楽制作ソフト)は「ACID 6」で、音源はローランドのソフト音源「バーチャルサウンドキャンバス」とフリーのファミコンPSG音源をいくつか用意しています。少し格好いい音がほしいときに、ローランドのシンセサイザー音源「Cakewalk D-PRO」を、MIDIの音楽編集ソフトとしては「Domino」を使ってますね。
── イラストは何のソフトで描いてますか?
わP:筆ペンで書いて、コピックで色を塗ってスキャンしています。「わP」のハンコも自作ですよ。
紙は100円ショップに売っているメモ用紙が一番描きやすいですね。筆ペンは100円ショップのものだとすぐに先がへたってしまうので、少し高いぺんてるの製品を使っています。筆ペンはいい道具ですよね。ささっと描けるのに味があって、それでいて看板にも使えるくらい既成のフォントに負けないロゴタイプも作れる。
これらの道具はいつも持ち歩いているんですよ。商売道具ですから。簡単な絵を描くだけなので、この環境で充分なんです。丁寧に書くならラフな下書きを書いてその上にもう一枚紙重ねるという「レイヤー機能」も使えます。
── 結構、早く描けるものなんですね。
わP:スピード勝負です。最初の頃に作った動画からして、「クオリティーなんて俺が出せるわけないから」みたいな感じでしたし。初音ミクが発売されてからしばらくは、その動画がすごく求められていた時代で、そういう中でやるなら「数」で勝負だろうと。
ニコ動では「あたまわるいうた」とも呼ばれていますが、実は「ゲームミュージックに歌詞を載せる」という手法は昔からやりたくて仕方がなかったんですよ。
ボーカロイド登場以前、ボーカルさんというのは一部の特別な人だけがお願いできたもので、趣味レベルでは用意できなかった。今のように高品質なボーカルが行き渡るようになったのは「革命」と言えるぐらいにスゴいことなんだと思います。