ハンマーの「作法」を知らなかった
── 忙しいと言われつつも、休止宣言のあとにスゴい勢いでハンマー系※の動画をアップロードされていますが……。
わP:実はハンマー系の動画は、作るのが楽なんですよ。歌詞を考えなくていい、動画は一枚絵だけ、リズムは使い回し、後ろのメロディーはハンマーだからコードに合せればいいという感じで。ボーカロイドの歌部分も「アー」や「ラー」と言っているだけですしね。短いものでは、30分くらいで完成しますよ。
※ハンマー系 ニコ動内で「ハンマー状態」と呼ばれているゲーム「ドンキーコング」のBGMと、他の楽曲をマッシュアップした一連の動画。「ハンマー・オブ・ナイツ」の投稿をきっかけに、2009年1月頃からニコ動においてブームになった。
── ゲームミュージックとハンマーを掛け合わせているのはなぜですか?
わP:当時のゲームミュージックなら「わざわざ耳コピせんでも覚えとるわ」という感じだからです。ハンマー系は作者コメントも「〜に力入れた」というひと言でいいから、考えるのが楽。実は一連のハンマー系の動画は、テンポを160で固定してるんですが、なぜだか分かりますか?
── ?
わP:あとで全部つなげて「メドレーにしてしまおう」ということです。これには理由があって……。えーと、ニコ動内で有名なネタ元って、いくつかの「お作法」があるじゃないですか。「このネタならこのカテゴリーに上げなきゃならない」とか、そういう縛りですね。
ハンマーの場合は、「ハンマーの音源を使う」「『スポーツ』タグを付ける」「説明欄に『〜に力を入れた』と書く」という3つに加えて、「毎月11日にアップロードする」というお作法がありました。でも最初、それを知らずに6月16日に投稿してしまった(笑)。
── 動画に「11日にやれ」や「11日が来い」といったタグが付いていたのは、そういう理由だったんですね。
わP:ということでメドレーとしてつないだものをこの11日に投稿しました。でも、最近はかなり体が厳しいので、少し休もうかと思っています。動画も朝早く起きて、時間を作ってやっていたりして、もう部活かと。そのがんばりを仕事で発揮していたら、とてもエリートになれたかもしれません。
連投のコツは「やる気に合わせてレベルを下げる」
── でも、逆に息抜きだから、そこまで時間を割いてできるという面もあるのではないでしょうか?
わP:うーん……。ハンマー系の動画を投稿し始めたきっかけは、コンビニで売っていた、いかにも仕事ができなさそうな人が読むような仕事術の本に影響を受けたからなんですよ。
その本に書いてあったのは「仕事や勉強は、テンションが下がっていたり、やる気がないときでも休憩せず、そのやる気に合せてレベルを下げて続けるといい」ということです。その言葉に感銘を受けまして。ということで、時間かからない作品をどんどんアップするようになったという。
── それでハンマーに行き着いたという。
わP:ハンマーの動画を見ていたら「なんでもアリじゃん! これならいくらでもイケる!」と思ったわけです。
── ニコ動は結構見られていますか?
わP:昔はほとんど見てませんでしたね。仕事が忙しくなると言われたときに、「モノを作るのはしばらくやめておこう」と思って、ここ最近は見るようになりましたが。
── アップロード専門という感じですか?
わP:そうですね。ニコ動内で評価されている有名な作品ですら、知らなかったこともありますし。ニコ動は、細切れに時間が空いたときに時間をつぶすにはすごくいいですよね。