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初音ミク・ワンカップPが語る「休止宣言の真相」

2009年07月13日 12時00分更新

文● 全農連P、広田稔/ASCII.jp編集部

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ボーカロイドは実は「無調整」

── ボーカロイドの「調教」(調整)は大変ですか?

わP:友人のボカロP(ボーカロイドの曲を作る人)が家に遊びに来たときに、初音ミクの画面を見せたんですけど、開口一番「何にもいじってねえじゃねえか!」と言われました(笑)。


── 無調整なんですか!

わP:ベースのパラメータを少しいじる程度ですね。「人間の声に近付くように」と頑張っている方もいますけど、私は「それなら人間に歌わせればいいじゃないか」と思うわけです。

 唯一、工夫したのは、イコライザーで歌詞を聴き取りやすくしたことくらいですね。コンプとリバーブかければ、ほとんどいい感じになるじゃないかと。「とにかくコンプ!」みたいな感じです。


── ボーカル以外では、何か動画を魅せるコツというのは考えられていますか?

わP:「あたまわるいうた」では、歌詞を重視してました。ニコ動では、音だけでなく映像も見せることになる。だから歌詞さえ出せば全員「目で聞く」んですよ。目で歌詞を追ってしまうと、歌詞のように聞こえてしまうんです。

 例外的に歌詞を付けてない「おてんば恋娘 っていうの?」は、そういう意味では実験でした。見ている側が歌詞なしでも聞き取れるのか否かをコメントからくみ取ろうという意図があったんです。



ニコ動は「駅前の広場」以来の場所

── お話を聞いていると、かなり考えられて動画を作られていますね。

わP:動画を作るにあたって、自分の中でちょっと斜に構えたテーマがあって、それは「国語の世界だ」というものです。どうやって動画を面白く見てもらうのかと考えたときに、アニメのようにグングン動く物を見せるようなのを自分で作るのは無理だと思いました。それなら「歌詞」だと。どうやって「歌詞で魅せようか」と考え始めたんです。でも、歌詞以外の部分は極力、省力化しています。そもそもできませんから。


── それ以外に、オリジナルの曲や一般曲のカバーも上げていますよね。

わP:ボーカロイドは「みんな知っている曲を歌わせて楽しむ」という流れになると思っていたんです。アニメなどの歌をカバーさせるという。そうしたネタの取り合いになって、半年くらいでネタが出尽くして終わり、という感じだと思っていました。

 でも一番の誤算だったのが「オリジナルの歌が流行る」という展開ですね。オリジナル曲がボーカロイドブームのメインになることは、絶対にないと思っていたんですけどね。有名でも何でもない個人のオリジナルの曲を、世の中の人がさらっと聴いてくれるという状況は、とても想像できなかった。

 先ほど触れたニフティのフォーラムは、あくまでも作り手同士が評価し合う場であって、純粋な聞き手の「お客さん」が居ない世界だったんです。一方で、ニコ動は「聴きたい人だけが聴いてくれる」場だった。

 昔は見ず知らずの人に自分の曲を聴かせられる場所というのは、「駅前の広場」くらいじゃなかったでしょうか。しかも、聞きたくない人が居ない、本当に純粋なお客さんだけがいる場所という点においては、ニコ動は駅前の広場以上です。そういう希有な場所を作り上げたニワンゴさんは偉いなぁという。


── 最後に、これから挑戦してみたいことはありますか?

わP:お酒のラベル絵を描いてみたいです。もし酒造の方がいて、お声をかけていただければ、なんてね。


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