ピンクチラシを最近はまったく見なくなった。以前は毎日のように自宅のポストに投函されていたのに、規制が強化されてからは公衆電話ボックスにも貼られていない。しかし、先日、自宅のゴミ箱の裏でピンクチラシを「発掘」して気がついた。ピンクチラシには、レスポンス広告業界のモノを売るためのノウハウが詰まっている。
ピンクチラシに込められた「レスポンス広告」のノウハウとは?
ピンクチラシは「レスポンス広告」の一種だ。レスポンス広告とは、マス広告のように商品の存在の認知や、商品やサービスの啓蒙を目的にするのではなく、来店や資料請求、購入など、具体的なレスポンス(応答)を期待するダイレクトマーケティングの手法である。DMはがきによるバーゲンの告知、通販カタログの無料送付など、チラシの形式に限らず、潜在顧客のココロに直接訴え、行動を起こさせるのがレスポンス広告だ。
レスポンス広告のノウハウは、ネットショップのトップページはもちろん、メールマガジンで常連客に新商品の案内をしたり、リスティング広告のランディングページを調整してコンバージョン率を高めたりするのにも使える。Webマーケティングの手法には確立されていない部分もあるが、レスポンス広告なら体系だったノウハウの集積があり、あとは実践するかどうかである。いったいどんな手法なのか。
レスポンス広告の必須要素は、以下の5つだ。
- ニュース性
- ニュースがもたらすメリット
- メリットの理由
- 広告主自身の信頼感
- 第三者による信頼性
ピンクチラシそのものを掲載するのは気が引けるので、編集部のK君に架空の巨峰販売業社「巨峰ッ娘倶楽部」のチラシを作ってもらった。
巨峰ッ娘倶楽部のチラシには、次のようなテキストがある。
- 巨峰ッ娘倶楽部
- 風営法届出店
- 明朗会計
- 今なら初めてのお客様 80粒\10,000
- 送料無料(市内限定)
- 通常料金 60粒\12,000
- TEL 0120-1234-5678
- 自宅・ホテルに迅速配達
- チェンジ・キャンセルは何回でも可能
- とってもジューシー
「たかがピンクチラシ」となめてかかっては駄目だ。巨峰ッ娘倶楽部のチラシには、レスポンス広告の必須要素が基本に忠実に盛り込まれている。
- ニュース性
- レスポンス広告の目的は、潜在顧客に行動を起こさせることである。そのためには、いますぐ行動してもらうための「今だけ感」、つまりニュース性が必要だ。巨峰ッ娘倶楽部の場合、「今なら」と記載し、すぐに巨峰を買わないと損であることをアピールしている。
- ニュースがもたらすメリット
- どんなメリットがあるのか具体的に示さないと、行動には結びつきにくい。チラシでは送料無料や通常料金「60粒\12,000」が「80粒\10,000」になるメリットを示している。
- メリットの理由
- メリットは本当にメリットなのだろうか? お客はつねに疑い深い。巨峰ッ娘倶楽部の場合、「初めてのお客様」限定であることで本当に通常料金が存在すること、「送料無料」が「市内限定」であることで、メリットの信憑性を高めている。
- 広告主自身の信頼感
- 広告主は信頼できるんだろうか? 熟れすぎた巨峰、外国産の巨峰では心配だ。そこで「明朗会計」「自宅・ホテルに迅速配達」「チェンジ・キャンセルは何回でも可能」など、商売の姿勢をアピールし、自分自身の信頼感を高めようとしている。
- 第三者による信頼性
- 言うだけなら誰でもできる。チラシでは、「風営法届出店」と記載して、公認された業者であることをアピールしている。また、連絡先として携帯電話ではなく「TEL 0120-1234-5678」というフリーダイヤルを記載することで、万が一問題が起きても足が付く安心感を見せている。さらに、「とってもジューシー」という顧客目線の感想を載せることで、第三者による評判まで表現している。