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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第52回

本能を隠す必要なんてない さらしる氏の生存証明

2009年07月14日 13時00分更新

文● 古田雄介

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サイト更新は、学友へ向けた生存証明

―― サイトを始めたきっかけを教えてください。

「アクセスカウンターも設置してないから、オフ会に行くと他の管理人に『なんだこのザコは』という目で見られて、非常に面白いですね」と語るさらしる氏。写真は2009年3月時のもの(以下同)

さらしる 大学を卒業する際、学生時代の友人と連絡をとるために始めたんですよ。即身仏みたく「俺のページが更新されなくなったら、死んだものと思ってくれ」という意味合いで(笑)。

 本当に淡々と更新するのが目的で、内容は自分が興味のあること。そのコンセプトは今も変わっていないですね。ページ構成も当時のままで、今でもHTML 3.2です。時代の波にはまったく乗っていません。


―― となると、今も想定読者は自分と大学時代の友人という感じですか?

さらしる そうですね。自分と友人が少しずつ年をとっていることもあり、書いている内容を客観的に見ると、だんたんオッサンっぽくなっているかもしれません。

 まあ、でも、現在のネットの中心層は20代後半から30代が多いと思うんですよね。たまたまですけど、同世代の人達が多いから、自分用のコメントでも共感してくれる読者が割といてくれるのかなと思います。

 やっぱり、読者から「ファンです」というお便りをいただくと嬉しいですしね。こないだも5年間読み続けているという人からメールをいただきました。もうそうなると、酒を酌み交わしたくなっちゃいますよね。 


―― なるほど。いや、読んでいると、内輪上等というか「分かってくれる人だけ分かってくれればいい」という方向で突き抜けている感じをすごく受けるんです。もう、不特定多数の読者なんて眼中になくて、「俺をはき出す!」という意識だけでやっているのかなと。

さらしる 基本はその通りで、無意識のうちにそうなっている感じですね。せっかくネットにつながっていて膨大な情報があるんだから、興味のある人だけ集まればいいと思っていますし。

 分からない単語やスラングがたくさん使われていても、Googleで調べてもらえばいいですし、俺がいちいち解説してもWikipediaに載っている詳しい情報に勝てないですしね。

 だから、分かる人だけ集まればいいというスタンスではあるんですけど、客観性でいえば「こう書いたらネットで嫌われるだろうな」という意識は持っています。やっぱり、嫌われるのは怖いんですよね。今は会社を辞めて無職ということもあって、ほぼ自分の存在価値がネットのみなのに、ネットの住民に嫌われるというのは一番怖い。


―― あー、「好き」と「無関心」はいいけど「嫌い」は嫌という気持ち、よく分かります。でも、人気サイトの宿命として、アンチな人も出てきませんか?

さらしる えーと、殺害予告が届いたことはありますね(笑)。ある声優さん関連のコメントが逆鱗に触れたみたいで、3通くらいのメールが届いて、色々な表現で「殺す」とか書いてあったんですよ。

 ヤバイなーと思って警察に相談したんですけど、一緒に過去ログを読み返しても何がマズかったのか分からなかったんですね。とりあえずその声優さんへの言及を避けるようにしたらメールが来なくなったので、まあ良かったですけど。

 それ以外にも、2ちゃんねるで粘着的に批判している人はいると思います。そういうことがあると、もう思い切り凹みます。死にたくなります。リストをカットしたくなります。でも同時に、「まあ、自分でやっちゃったことだしなー」とも思うんですよ。

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