5.1chや7.1chのサラウンドシステムが普及し、手軽にサラウンド感を味わえるようになったが、ただ「映画館並の迫力のある音」を出すのはなかなかハタ迷惑なこと。
それは一人暮らしのワンルームだろうと、家族と暮らすマイホームだろうと変わらない。防音室でもあれば話は別だが、普通のリビングで音量を上げて迫力を出そうとすると、即座に近所&家族の迷惑になってしまうからだ。
そんなわけで、今回注目したのがサラウンドヘッドフォン。特に本連載の編集担当者が本気で買おうと思っているらしく、モノ選びに際しては以下のような指令が飛んできた。
編集担当からの指令
- 2~3m離れた大画面テレビを中心に使いたいのでワイヤレスであること
- ゲームをサラウンドで楽しみたいので光サウンド入力端子を搭載すること
- 価格は2万円台で
以前はどちらかというと地味な印象のあったサラウンドヘッドフォンだが、やはり映画を大音量で楽しみたいというユーザーは多いのか、各メーカーのラインナップも充実し始めている。そこで今回は、上記の条件に合う製品を3つチョイスし、それぞれの違いや音質のチェックを行なった。
迫力ある低音が存分に楽しめるMDR-DS4000
ソニーの「MDR-DS4000」(実売2万円前後)は、赤外線伝送方式のワイヤレスサラウンドヘッドフォンだ。入力は角形コネクタの光サウンド端子とステレオピンジャック端子を備えるほか、スルー用の光サウンド端子も用意されている。サラウンドフォーマットは「DTS-ES」「Dolby Digital」「MPEG-2 AAC」のそれぞれに対応するほか、「Dolby ProLogic II」を利用して2chのソースを5.1ch化して再生することも可能だ。
ワイヤレスヘッドフォンでは、音声信号を受信し実際に音を鳴らすヘッドフォンに電源が必要になる。通常、充電池を電源として使うことになるが、MDR-DS4000ではその充電をトランスミッター(送信機)で行なう。
トランスミッターの左右にはお椀型の受け皿があり、そこにヘッドフォンを乗せると充電するという仕組みだ。また単4型アルカリ電池にも対応しており、この場合は約13時間の再生ができる。充電し忘れたときなどに、とりあえず単4電池が使えるのは便利だろう。
ヘッドフォンは密閉型で、40mmと中型のドライバーユニットを採用している。調整不要のヘッドバンド方式で、締め付けられる感じはなく、またイヤーパッドの素材がソフトなため付け心地も上々だ。装着すると自動的に電源が入り、外せば切れるのが便利。なお左耳側のハウジング内にはバッテリーが納められており、ボタン1つでカバーを開いて取り出せる。ヘッドフォンでの音量調整も可能で、右側のハウジングに音量ダイヤルが用意されている。
トランスミッターには「SOUND」「MOVIE」「OFF」の3つの「EFFECT」モードのほか、ダイナミックレンジを圧縮する「COMPRESSION」モードのオン/オフの切り替えスイッチが用意されている。
EFFECTモードをMOVIE、もしくはSOUNDにするとサラウンド効果が有効になる。MOVIEモードでサラウンド効果を確かめてみると、後方に音が回り込むような感覚が生まれ、個々の音の距離感を感じられるが、後述の2機種と比べるとサラウンド効果は控えめ。ただ驚いたのは低音の豊かさ。地鳴りのような音が迫力を持って再現される。
ちなみに今回ソースとして「プライベートライアン」を利用したが、市街地戦で徐々に戦車が来るときの重低音が臨場感を持って再現されている。5.1ch環境の「0.1ch」がキチンと感じられる、そんなサラウンドヘッドフォンである。
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