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リアにスピーカー4つも置けない、という人必見!

映画の音場がグッと広がる新技術「Dolby ProLogic IIz」

2009年07月08日 16時00分更新

文● 川添貴生/インサイトイメージ

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高さを追加し新たなサラウンド世界を実現

Dolby ProLogic IIzの9.1chスピーカー配置のイメージ

Dolby ProLogic IIzの9.1chスピーカー配置のイメージ

 高さを演出するため、Dolby ProLogic IIzを利用する際には、左右のフロントスピーカーの上部(60cm~1m)に、フロントハイトスピーカーを設置する。5.1chのシステムにフロントハイトスピーカーを付け加えるのであれば7.1ch、同様に7.1chにフロントハイトスピーカーを加えれば9.1chになる。

左が5.1chにフロントハイトスピーカーを付け加えた7.1ch構成、右は7.1chを9.1ch化したもの。フロントハイトスピーカーは、フロントの左右のスピーカーの1m上に設置(できるだけ高い方がよい、とも)。なお、推奨はフロントの左右のスピーカーの真上だが、多少広い角度においても問題ないとのこと

 ただ通常のマルチチャンネルのソースには、真横や真後ろの音というのはあっても、上や下といった高さの概念はない。そこでDolby ProLogic IIzでは、左右斜め後方の「逆相成分」を取り出し、片方のチャンネルの位相を反転して同相とした上で、フロントハイトスピーカーから出力している。こうした工夫により、オリジナルの音から「何も足さず、何も引かない」まま、新しい空間演出を実現している。

 なぜ逆相成分を取り出すのかというと、上下方向の音は明確な定位感や方位感がなく、またホールトーンなど残響成分が含まれているのが理由だという。つまり、明確な高さ感のある音をフロントハイトスピーカーによって表現するというよりも、たとえばコンサートホールの残響音や、遠くにある音の高さ感、そして広がりを演出してくれるものだと言えるだろう。

Digital Cinema Initiativesで定められた規格。確かにリアにはハイトスピーカーがない

Digital Cinema Initiativesで定められた規格。確かにリアにはハイトスピーカーがない

 サラウンド感という意味で考えると、フロント左右の高い位置だけでなく、リアの上にも設置するといいのでは? と考えてしまうが、実はデジタル映画の仕様を決めている「Digital Cinema Initiatives」の規格では、高い位置に設置するスピーカーとして定義されているのは、Lvh(前方左上方)とCvh(センター上方)、Rvh(前方右上方)、Ts(トップサラウンド)の4つしかなく、後方は定義されていない。

 また、家庭での設置を考えた場合、Cvhはモノラル感が強く出過ぎてしまう、Tsは天井高がないとスイートスポットが狭くなってしまうといったことから、現状の構成がベストと判断されたようだ。

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