性能は他のネットブックと変わらず
「丁寧な作りで高解像度」が魅力
すでに述べたように、VAIO Wはいわゆる「Atom N採用のネットブック」であり、仕様的に特別な部分はない。だから性能も推して知るべし、ではある。Windows XP Home Edition搭載なので、動作に遅さを感じることはまったくないが、CPU負荷は常に高めである。だが放熱効率は悪くないようで、発熱は高いところでも35度程度と、「そこそこ暖かい」程度に抑えられていた。膝の上で使う場合も、バッテリーが多少出っ張っている形状のため、もっとも熱い部分には触れにくくなっている。
各部の温度 放射温度計による測定、外気温は25℃。フルパワー時のデータはH.264の動画再生時に計測 | ||||
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パームレスト | 底面の最大発熱部 | キーボード左側 | キーボード右側 | |
アイドル時 | 約30度 | 約34度 | 約31度 | 約30度 |
フルパワー時 | 約31度 | 約35度 | 約32度 | 約31度 |
内蔵ストレージは160GBの2.5インチHDD。ちなみに保証はなくなるが、本体背面のふたを開けると、HDDに簡単にアクセスできる。交換は容易だろう。
標準添付のバッテリーは3セル(2100mAh)タイプで、バッテリー駆動時間約3.5時間と長くない。BBenchによる計測では、もっともバッテリーが長持ちする「スーパースタミナ設定」でも、2時間半を切る程度であった。2.4倍の容量(5200mAh)を持つ「リチャージャブルバッテリーパック(L)」が別途用意されているが、今回はテストできなかった。容量に比例するとすれば6時間弱は動作すると考えられる。このあたりも、同様のスペックの他社製品と大きな差はなさそうである。
性能面で見れば、VAIO Wに見るべきところはほとんどない。VAIO type Pがいろんな意味で「ほかと違うパソコン」であったことに比べると、あまりにも「普通」である。
だが、この製品はそれでいいのだろう。冒頭で述べたように、VAIO Wは普及型。「VAIO type Nのネットブック版」と言っても差し支えない。3セルのバッテリーが標準装備というのも、「モバイルユーザーとは違う層に売れるパソコン」という狙いに基づくものなのだろう。地味ではあるが、使いやすさを重視した、丁寧な作りのネットブックだと感じる。後発なのだからあたり前、といってしまえばそれまでだが、いかにも日本メーカーの製品らしい、細かな配慮がみてとれる。
ボディーに使われる素材などにも、高級なパーツを使ったところはほとんどない。VAIO type Pが「見るからに手のかかった製品」であったこととは、大きな差がある。しかし、この価格でこの実用性ならば、この仕上げでも十分以上の満足感が得られる。
ただし、ディスプレーが1366×768ドットであることは、現時点では他社製品にない大きな価値を持っている。使いやすいデザインと高い解像度のディスプレーがセットになることで、VAIO Wは驚くほどバランスが良く、実用性の高いネットブックになっている。この点こそが、現時点で他のネットブックとVAIO Wを分ける大きなポイントと言える。完成度の高いボディーに高解像度ディスプレーであるからこそ、VAIO Wは魅力あるネットブックになっているのだ。
ディスプレー解像度が「普通」になることで、ネットブックと一般のA4ノートの差は、さらに縮まってしまった。処理性能の問題はあるにしろ、多くの人にとって、「ネットブック“以外”を買う価値」を問いかける結果になりそうだ。
- オススメする人
- ・実用性の高いネットブックが欲しい人
- ・デザインのいいネットブックが欲しい人
VPCW119XJ/W、/Pの主な仕様 | |
---|---|
CPU | Atom N280(1.66GHz) |
メモリー | 1GB |
グラフィックス | Intel 945GSE Expressチップセット内蔵 |
ディスプレー | 10.1型ワイド 1366×768ドット |
HDD | 160GB |
光学ドライブ | 搭載せず |
テレビ機能 | 搭載せず |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n(Draft 2.0)、Bluetooth 2.1 |
カードスロット | SD/SDHCメモリー/MMCスロット、メモリースティックDuo(PRO対応)スロット |
インターフェース | USB 2.0×2、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LANなど |
サイズ | 幅267.8×奥行き179.6×高さ27.5~32.4mm |
質量 | 約1.19kg |
バッテリー駆動時間 | 約3.5時間 |
OS | Windows XP Home Edition SP3 |
予想実売価格 | 6万円前後 |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新聞出版)。
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