音楽に夢を見出して欲しい
―― 子供にDS-10を教える意義は何だと思いますか?
増井 何より自分がやって面白かったから、子どもたちも楽しいに違いないと。音楽の楽しさ、集団で合奏することで仲間の大切さ、そういう体験を通して音楽に夢を持ってもらいたい、その3点です。これをきっかけに音楽に夢を見出して、それを叶えるべく努力してくれる子が出てきたら最高です。
―― 子供達の反応はどうでしたか?
増井 会の終了時に「楽しかったー!」の声や、「このソフト欲しい!」の声がちらほらと聞こえてきていたので、反応は上々だったのではないでしょうか。ただ音階の打ち込みは、こちらが考えていた以上に、難しかったようですね。でも、普段なら飽きて投げ出してしまうところなのに、今まで見たこともないような集中力を発揮していました。
―― キャラバンの続編はあるでしょうか?
増井 県内市町村を回りたいと考えています。子ども会は全国各地に存在する組織なので、神奈川で盛り上げて、将来的には「全国縦断!子ども会DS-10キャラバン!」の開催まで行ければ言うことありません。
このイベントで「授業」に相当する部分は、まず「かえるの歌」を題材にした音符の打ち込みからスタートした。最終的に「CDデビューを目指す」というお題目で、6名のユニットを組み、佐野氏をレーベル社長に見立て、完成した曲をプレゼンするという流れだ。
やはり子どもの反応は素直で面白い。変な音が出れば大騒ぎで「こんな面白い音が出たよー」とDSを持って聴かせに来る。ただ今回は時間が足りず、DS-10の醍醐味であるカオスパッドを使った操作までは踏み込めなかったのは残念だった。
が、シンセの面白さは自由に音色を操れることであり、それは子ども達にも伝わりやすいはずだ。ただ、その方法をどう教えるかが大問題。それは佐野氏以下、DS-10オールスターズの面々も同じ意見だったし、これからの課題だ。
しかし何より「シンセを子どもにどう教えるか」、その試行錯誤が可能になったことが何よりの進歩だと思う。小さなゲームマシンで動くシンセがなければ、そんなことは誰も思い付かなかったはずだから。
四本 淑三(よつもと としみ)
1963年大分県生まれ。武蔵野美術大学デザイン情報学科講師。高校時代に音楽雑誌へ投稿を始めたのを契機に各種のコンテンツ制作や執筆作業に関わる。去年は動画サイトに上げたKORG DS-10の動画がきっかけで、KORG DS-10の公式イベント「KORG DS-10 EXPO 2008 in TOKYO」に参加。その模様はライブ盤として近日リリース予定。