Bingとは異なるアプローチで検索エンジンの問題解決を狙う
新「NAVER.jp」はどこがすごいのか。「Web」「画像」「動画」「ブログ」「口コミ」など、検索メニューの種類は確かに多いが、並びだけみれば従来の検索サービスとさほど変わらないようにも見える。最大の売りは、「スマートファインダー」「NAVERまとめ」といった独自性の強い機能だ。
スマートファインダーは、検索キーワードを入力せずにマウス操作で条件を設定して情報を検索できる機能。たとえば、「1981年生まれ、愛知県出身の女性タレント」などの条件を選んでいくだけで、該当する人物がサムネイル画像付きで表示される。画像をクリックすれば関連するWeb検索の検索結果などの詳細情報が見られる。検索できるジャンルは、現在のところ「人物」「ゲーム」「自動車」などに限られているが、今後も増やす予定という。データは、WikipediaなどのCGMサイトから収集したものと外部から購入したものをまとめている。
もう一方のNAVERまとめは、Web検索の結果などをもとに、ユーザーがリンク集のような「まとめページ」を作成・検索できる機能だ。たとえば、「Windows 7」と検索すると「キャプチャ画像」「使用レポート」といったまとめページが見つかる。従来であれば、キーワードを追加して検索を繰り返さなければならなかったのに対して、テーマを絞ったまとめページなら、すでに情報が選別・収集されているので手間がない。一種のWikiのようなツール、と考えてもいいが、「リンク集」「発言集」「画像集」などのテンプレートが用意されていること、Web検索や画像検索の結果からすぐに「まとめページ」を作れる点など、Wikiに比べてハードルがぐっと低い点が優れている。
こうした新機能でNAVERが狙っているのは、従来の検索エンジンに不満を持つユーザー層の獲得だ。「検索エンジンは確かに進化してきたが、この10年、検索するときのユーザーの行動はほとんど変わっていない」とネイバージャパンの森川社長は言う。「キーワードを入力して検索し、見つからなければまた違うキーワードや絞り込み条件を入れる反復になっている。また、そもそも適切なキーワードを思いつかないと情報を探せない」。
奇しくもこうした課題認識は、Bingを開発したマイクロソフトとほぼ同じだ。「知りたい情報に到達するのに手間暇がかかる」という問題を、キーワードからユーザーの意図を読み解くことで、ある程度システマティックに解決してしまおうというアプローチをとっているのがBingだ。対するNAVERは、“人”(ユーザー)によって精査された「まとめページ」によって必要な情報を得るための時間を短縮しようとしている。さらに、検索需要の高い分野についてはデータベースをあらかじめ作っておき、スマートファインダーのような直観的なUIを用意することで、検索にかかる手間も軽減しようとしているのだ。
