ディスタンスベクタとリンクステート
IGPsはさらに、ルーティングプロトコルのアルゴリズムによって以下のように分類される(パスベクタ型と呼ばれる分類もあるが、EGPsであるBGPのアルゴリズムなので、ここでは取り上げない)。
- ディスタンスベクタ型-RIP、IGRP
- リンクステート型-OSPF、IS-IS
これらは、ルータ同士が、「どのような情報」を「どのように交換する」のかという視点での分類である。ルーティングアルゴリズムの違いによって、ルーティングテーブルのコンバージェンス(収束)が大きく変わってくる。順に特徴を見ていこう。
ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルは、宛先ネットワークまでの「距離」と「方向」にしたがって経路を決定する。宛先ネットワークまでの距離と方向は、どちらもルーティングテーブル上に含まれており、距離は「メトリック」、方向は出力インターフェイスだ。つまり、ディスタンスベクタ型は、ルータが持つルーティングテーブルの情報を交換するルーティングプロトコルであるといえる。このルーティングテーブルの交換はRIPでは30秒に1回、IGRPでは90秒に1回のように、定期的な間隔で行なわれる。定期的なルーティングテーブルの送信によって、ルーティングテーブルのアップデートに加えて、他のルータが稼動していることも認識できる。なお、このルーティングテーブルの定期的な交換は、ネットワークの構成に何も変更がなくても行なわれる。
次にリンクステート型ルーティングプロトコルでは、ルータは自分が持っているインターフェイスの情報(リンクステート)を交換する。これをLSA(Link State Advertisement)と呼んでいる。LSAの中には、
- そのルータがどのようなインターフェイスを持っているのか?
- どのようなタイプのネットワークに接続されているのか?
- IPアドレスは?
- 帯域幅は?
といった情報が入っている。このLSAを集めて、「リンクステートデータベース」を作成する。リンクステートデータベースは、いわばネットワークの「地図」に相当するものである。この地図を基にして、宛先ネットワークまでの最適な経路を計算して、ルーティングテーブルを構成する。このルーティングテーブルの計算アルゴリズムを「最短パス優先」もしくは「ダイクストラアルゴリズム」と呼んでいる。
リンクステート型ルーティングプロトコルは、ルーティング情報の交換は何らかの変更があったときに限られる。通常は、Helloメッセージを利用して、ほかのルータが正常に動作しているかどうか確認している。
(次ページ、「クラスフルとクラスレス」に続く)
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