IGPsとEGPs
ルーティングプロトコルは、その適用範囲によって、「内部ゲートウェイプロトコル(IGPs)」と「外部ゲートウェイプロトコル(EGPs)に分類することができる。
「内部」「外部」とあるが、何の「内部」「外部」だろうか? 結論からいえば、これは「自律システム(Autonomous System:AS)」と呼ばれるものの外部か内部かということを指している。
自律システムは、広義の意味と狭義の意味を持っている概念なので、理解するのが難しい。そこでここでは、自律システムを、
- 狭義:同一のルーティングプロトコルを採用しているネットワークの集合
- 広義:ある管理組織が同一の管理ポリシーにしたがって運用されているネットワークの集合
と定義することにする。
IGPsとEGPsを分類する際の自律システムは、広義の方だ。自律システムの例としては、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider : ISP)や、企業や学術機関などの大規模ネットワークが挙げられる。これら自律システムは、「自律システム(AS)番号」を取得して、お互いを識別する。そして自律システムが相互に接続して、世界規模に広がったネットワークが、現在の「インターネット」と呼ばれるものの姿だ。
自律システムの外部、つまり自律システムと自律システムの間で利用するルーティングプロトコルがEGPsである。そして、自律システムの内部で利用するルーティングプロトコルがIGPsなのだ(図2)。
EGPsとして、以前はEGP(Exterior Gateway Protocol)が利用されていたが、現在では一般的に、BGP 4(BGP version 4)が利用されている。一方のIGPsとしては、RIPやOSPFなどが挙げられる。
企業内ネットワークにおいて利用するルーティングプロトコルは、ほとんどの場合IGPsになる。ただし、最近ではIP-VPNサービスでBGPを採用する場合も見られるようだ。表1に、IGPsとEGPsの特徴をまとめてみた。
(次ページ、「ディスタンスベクタとリンクステート」に続く)
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