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T教授の「戦略的衝動買い」 第57回

これぞ極上PCカバン ボッテガ・ヴェネタを衝動買い

2009年07月02日 12時00分更新

文● T教授

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唯一にして最大の特徴「イントレチャート」

 ボッテガ・ベネタの最大の特徴は、きしめんのような多数の革紐を縦横に編み込んだ、「イントレチャート」と呼ばれる独特のデザインだ。

 一般的にイントレチャートとは、「短冊切りのレザー紐を編み込んで行く技法」だと理解されているが、ボッテガ・ベネタの革は、近付いてよ〜く見ると、まったく異なる製法であることに気が付く。

 簡単に言えば、バリ島のお土産の竹籠と同じようには編まれていないのだ。感覚的には、大きな一枚革の表面に別の革紐が通る多数のスリットが空けられており、そのスリットに短冊切りのレザー紐がクネクネと通っているイメージだ。大きな一枚革+多数の短冊切りの革紐というインテグレーションなのだ。

 筆者にとって、衝動買いを起こすエネルギーのコアは、同じ様に見えて実はまったく違うという、どちらかと言えば、どっちでもいい程度の些細な事実にあるのだ。

ボッテガ・ベネタのトレードマークであるイントレチャート。一見しただけでは、似たデザインの商品と同じに思えるが……

拡大写真をよ〜く見ると、一枚の革に開いたスリットに革紐が通されていることが分かる

薄いグレーカラーの方がイントレチャートの構造がよく伝わるかもしれない。ロゴマークではなく、ブランドを押し出すには、どんなに小さくても明快に差別化できる「何か」が必要であることを、ボッテガ・ベネタは教えてくれる

 このイントレチャートは、デザインだけでなく、実用性も兼ね備えている。最終的に編み上げられた革素材は、単に複数の革紐を編み込んだものよりも強靭だ。

 筆者は毎週、往復8時間ほどの出張にボッテガ・ベネタのカバンをお供に持っていっているが、型崩れすることもなく購入時の方形を保っている。モバイルPCや充電器、メモや多数の書類、ホルダー、一泊出張に必要なその他のモノをすべて放り込んで、片手でやっと持てるくらいの重さになっているにも関わらずだ。取っ手も、付属のショルダーストラップも同じく強度が高い。

普段、ショルダーストラップのフックは目隠しされている。シートベルト素材と同じ強靭なナイロン製ストラップを付けられる。コストの問題か、ストラップにはイントレチャートを採用していない

マチは一般的な薄型ブリーフケースと比較するとかなり広いため、多くのモノを収納可能だ。一泊くらいの国内出張なら十分対応できる。ヴィトンのエピ・ブリーフケース(写真左)がマチ6cmで、ボッテガ・ベネタ(右)が11cmとその差は歴然

筆者の平均的通勤時の鞄の中味。国内一泊出張時には、これに一泊分の着替え(シャツ+肌着+ハンカチ+靴下等)と携帯型のグルーミングキット、常備薬、ACアダプター等が追加で入る

つるっとした鞄底。アウトドアでの使い勝手などを考えれば5個の鋲があるのが理想だが、デザイン製を考慮すると何もないのがベストだろう

取っ手にまでイントレチャートを採用する徹底ぶりがグッドだ。取っ手は少し太めでハードだが、多くのモノを入れて移動する際などにはこの仕様がベストであると分かってくる

全体のバランスを考えられて作られているので、内容物が大きく偏らない限り、地面やテーブルの上でも自立する。しかし、底面に鋲が無いので置く場所は考慮する必要があるだろう

 ブランド戦略も上手だ。「Bottega Veneta」という覚えにくい社名を無理矢理押し出すことなく、ほとんどすべての製品に同社の特徴であるイントレチャート技法を採用。今や「イントレチャート」と言えば、多少ファッションに興味ある人なら、ボッテガ・ベネタを最初に思い浮べるまでに浸透している。

 すでに後発、先発を含め多くの「なんちゃってボッテガ」があふれる国内市場だが、商品の出来不出来は別として、編み目を見れば、その違いは一目瞭然だ。


今回の衝動買い

アイテム:「ボッテガ・ベネタ ブリーフケース ブラック」
購入価格:36万5400円


T教授

T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。

 

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