2011年以降のロードマップは不透明
以上が現在までの製品の変遷。ここから今後のロードマップの話をしよう。2008年11月に開催された「2008 Financial Analyst Day」というアナリスト向けイベントで、AMDは今後の製品展開を公表している。2009年では、すでにConesusコアのAthlon Neoはリリースされている。この先は、メインストリームノート向けに、45nm SOIを使った「Caspian」が登場。続いて2010年には、メインストリーム向けに「Champlain」、ウルトラポータブル向けには「Geneva」が投入される。
当時の予定では、2011年には32nmプロセスに移行し、“CPU+GPU”のFusionに対応した製品が投入されるという構図だった。しかしこの2011年の予定に関しては、まだいろいろと変更がありそうだ。以前のプランでは、台湾TSMC社などの製造により、GPUとAMDのCPUをMCM(Multi Chip Module)方式でパッケージ化するという話だった。今は、米GLOBALFOUNDRIES社がCPUとGPUを製造する、という話になっているもようだ。
問題は、AMDがGPUを、GLOBALFOUNDRIESの32nmバルクCMOS製造プロセスで本当に製造できるかという点で、量産が開始される2010年の今頃まで様子を見ないと、確たる予測が立てにくい。そのため今回は2011年以降は省き、とりあえず2010年までの予測を述べたい。
2009年後半にはK10世代の「Caspian」が登場
まず上掲のロードマップスライドにもあるCaspianだが、当初は今年のCOMPUTEX TAIPEIで発表と見られていたものの、2009年9月発表あたりに延期されたもようだ。コアはPhenom IIとかAthlon IIと同じ「K10アーキテクチャー」に対応したものに変わると見られる。
まずは、今のAthlon IIのように、共有3次(L3)キャッシュを持たない製品が、おそらく現在のLionとほとんど同じ動作周波数と構成で登場すると思われる。2次キャッシュも1MB×2と512KB×2の2種類がラインナップされ、これが「Tulion II X2 Ultra」と「Tulion II X2」としてリリースされる見込みだ。
また同時期に省スペースデスクトップ向けにも、2次キャッシュを512KBとして動作周波数と消費電力を下げたものが、やはり「Athlon II X2 Dual-Core for Notebooks」といった名称で登場すると思われる。
このCaspianコアを1コア無効化した「Sargas」コアが、Sempronブランドで投入される予定だ。このCaspian/Sargasコアの製品は、DDR3に対応した「Socket S1G3」のパッケージになる予定だ。
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