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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第7回

AMDは65nmでモバイル専用を投入 Athlon IIは9月?

2009年06月29日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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Turion 64以降のAMDモバイルCPUのロードマップ
Turion 64以降のAMDモバイルCPUのロードマップ

初のモバイル専用CPU「Lion」と「Sable」

 ここまでのラインナップは、基本的にはデスクトップ用のCPUの中から省電力製品を選別して製品化する形であったが、この後にはモバイル専用プロセッサーが登場する。それが2008年6月に登場したデュアルコアの「Lion」(Turion X2)と、シングルコアの「Sable」(Sempron)である。かつては「Griffin」と呼ばれていたプロセッサーだが、どうもこのGriffinは、LionとSableをあわせたコード名だったようだ。

Turion X2のイメージ写真 Turion X2のイメージ写真

 まずLionだが、こちらはモバイル専用といっても、コアのアーキテクチャーそのものはK8コアと同じである。ただし省電力の工夫がされており、内蔵メモリーコントローラーやHyperTransportリンクの省電力化、あるいは「Unganged Mode」※1を搭載するなど、モバイル向けの機能が搭載されたCPUとなっている。

※1 2チャンネルのメモリーバスを、独立した2つの64bitメモリーとして動作させるモード。後にデスクトップの「Barcelona」でもサポートされた。

 同時に、Sempronブランド向けに投入されたSableは、Lionから1コアを無効化した形で実装されている。またLion/Sable共に、DDR2メモリーに対応した結果、従来のSocket S1とは互換性がない新パッケージ「Socket S1G2」に切り替わっている。

 なおTurion系列では、2次キャッシュが1MB×2で動作周波数が高いものを「Turion X2 Ultra」、512KB×2でやや動作周波数が低いものを「Turion X2」としているが、差異はそこだけである。また512KB×2のTurion X2のうち、比較的低消費電力で動作するものが「Athlon X2 Dual-Core for Notebooks」として、やはり省スペースデスクトップ市場向けにリリースされている。


Atom対抗に急遽投入された「Athlon Neo」

HP Pavilion Notebook dv2 「Athlon Neo」を採用した世界初のノートパソコン「HP Pavilion Notebook dv2」

 このラインナップに急遽追加されたのが、2009年1月にリリースされた「Athlon Neo」である。インテルのAtomを使ったネットブック/ネットトップのマーケットが予想以上の盛り上がりを見せており、このマーケットに投入すべき製品がどうしても必要になったからだ。

 ずいぶん前のロードマップでは、こうしたマーケットには「Bobcat」と呼ばれる、Atomと同コンセプトのプロセッサーを投入する予定だったが、こちらは開発が遅れに遅れており到底間に合わない。そこで急遽、Lionから1コアを削減し、かつ動作周波数を1.6GHzまで落とすことでTDPを15Wに下げた「Huron」コアをAthlon Neoとして投入する。

 この製品がいかに間に合わせだったかというと、組み合わせるはずのチップセット「AMD 700」シリーズが間に合わず、「AMD 690G」のモバイル用である「AMD M690G」を用意したあたりからも見て取れる。15WというTDPは、Atom N270の2.5Wに比べると絶望的に大きい。またインテルがネットブック/ネットトップ向けに用意したIntel 945GCチップセットは5.5Wの消費電力である。合計で8Wで済むのに対し、M960Gは単体でも8W程度で、合計で15Wほど多めになっている。

 Huronコアがなぜこんなに消費電力が多いかと言うと、基本的にはSableと同じで、Lionを1コア無効にしただけだからだ。物理的に1コアまで削れば、おそらく消費電力は10Wを切る辺りまで削減できたのだろうが(Atom並みの4Wまでは難しいだろう)、AMDの製造能力ではそこまで準備するのは無理だったと思われる。そのため、2009年6月に投入された2コア版のAthlon Neo「Conesus」は、動作周波数を下げていないのに消費電力はわずかに3Wアップの18Wで収まっている。デュアルコアのAtom 330の消費電力が、シングルコアのAtom 230の倍にあたる8Wまで増えたことと対照的だ。

 要するにHuronもConesusも、リーク電流などスタティックな消費電力は(ダイが同じである以上)まったく変わらず、純粋に1コア分の動作時消費電力が増えたということになる。ただし今度はHuron投入から多少時間があったために、組み合わせるチップセットをより省電力化が進んだ「M780G」に切り替えることで、増えた3Wの分をうまく吸収しており、トータルとしての消費電力はほとんど変わらない。

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