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入門Ethernet 第4回

物理層の伝送技術の仕組みと高速化

1GbpsのEthernetの実現手段を知ろう

2009年07月02日 09時00分更新

文● 遠藤哲

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1Gbpsの符号化技術

 UTPを使う以上、ケーブルの最大周波数も無視することはできない。そこで、周波数を抑えながら、100BASE-TX以上の伝送を実現するために、ギガビットEthernetでは「8B1Q4」という符号化方式と「4D-PAM5」というシグナリング技術が使われている(図8)。

図8 8B1Q4と4D-PAM5

 まず8B1Q4とは、「8 binary to 1 quinary 4」の略で、8ビットを5値(quinary)データ4組からなる1つのシンボル(電気信号のパターン)に変換する符号化方式である。8B1Q4では、図8の①に示すようにMACパケットから1バイト取り出し、「畳み込み符号化」と呼ばれる手法によって生成した冗長ビットを加えた9ビットとし、冗長ビットと上位2ビットによりシンボル変換表を選び、残りの6ビットに対応した5値データ4組からなる1シンボルを得る。次に、この8B1Q4符号化で得たシンボルを参照し、より対線A~Dそれぞれの値に応じたパルスを送信する。

 このように一度に4つのより対線ペアにパルスを送信することで、8ビットを送信したことになる。1Gbpsの伝送を行なうには8ビットを125M回送信しなければならない。すると1つのパルスは8nsの時間となる。2パルスで1周期となるのがもっとも高い周波数成分となる。すなわち1秒÷16ns/Hz=62.5MHzをサポートしたUTPケーブルを使えばよく、理屈の上ではカテゴリ5以上のケーブルとなる。しかし、カテゴリ5のUTPケーブルでは4つのより対ペアそれぞれで送受信を行なうことを想定して設計されていない。そのため、1000BASE-Tでの仕様を想定して改良されたカテゴリ5e(eはenhancedの意)以上のUTPケーブルを使うのが望ましい。

通信距離100mの実現

 1000BASE-Tにはもう1つ問題がある。高速であるがゆえに、最大長100mという距離での通信に支障が出たのだ。前パートで解説した通り、Ethernetの媒体アクセス制御はCSMA/CDであり、伝送速度に応じてフレームの最小サイズが決まっている。この最小サイズは、10BASE-Tと100BASE-TXでは64バイト(512ビット)となっている。

 ところが、1000BASE-Tは伝送速度が速いため、規格上の最大距離である100mを信号が往復するのに必要な時間を経過する前に、512バイトの送信が終わってしまう。つまり、このままだと100mのUTPケーブルを使ったネットワークでは、CSMA/CDの制御ができないことになってしまう。

 当然これでは困るので、1000BASE-Tでは最小サイズを512バイト(4096ビット)に拡張している。ただし、MACフレームの最小サイズである64バイトはそのままなので、512バイトに満たないフレームはダミーデータを補ってパディングして512バイトにして送信することになる。

1000BASE-Tと1000BASE-TX

 市販されているUTPケーブルのラベルや仕様の中に、1000BASE-TXという規格を見ることがあるだろうか。この1000BASE-TXは、IEEEの標準ではなく、米国の通信工業会(TIA:Telecommunication Industry Association)と電子工業会(EIA:Electronic Industries Alliance)による規格「TIA/EIA-854」のことである。

 1000BASE-TXは、UTP対応のギガビットEthernetである1000BASE-Tの低コスト化をねらった規格として登場した。ところが、1000BASE-Tが広く普及してしまったためサポートするメーカーも少なく、市場ではほとんど目にすることがない。規格名が1000BASE-Tと似ているが、技術的に互換性はないので、スイッチも含めて1000BASE-TX用の装置が必要となる。

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