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週刊 PC&周辺機器レビュー 第12回

ネットブックよりお買い得 15.6型ノート ProBook 4510s

2009年06月26日 16時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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15型級でテンキー付き 性能もネットブックを凌駕

ProBook 4510sのキーボード

ProBook 4510sのキーボード。15型級のノートとしては珍しく。テンキーを標準搭載する

 次にキーボードとタッチパッドを見てみよう。ProBook 4510sのキーボードは、最近流行の角形でフラットなアイソレーションキーボードである。フルキー部分は約19mmのキーピッチを確保しながら、さらにテンキーまでついているのは、非常に珍しい特徴だ。15型級のノートパソコンでテンキーを標準装備する製品は、ビジネス/コンシューマー問わず滅多にない。ネットブックにはあるわけがない。数値や式入力を多用するビジネスユーザーには、ささやかだがあって嬉しい装備だろう。

 タッチパッドは本体中心線に対して、かなり左に寄って付いている。これは右にテンキーが存在するゆえの配置と思われる。キーボードのホームポジション(FキーとJキー)の下側に配置されているので、タイピングしながら使うのにも支障はない。

 性能面ではネットブックを大きく上回る。まずCPUはCeleron T1600(1.66GHz)を搭載する。クロック周波数こそAtom N280と同じだが、CPUの中身は大違いだ。2次キャッシュメモリーは少ない(1MB)ものの、Core 2 Duoプロセッサーと同アーキテクチャーのCPUコアを備えたデュアルコアCPUである。仮想デュアルコアのAtomとは大きな差がある。

 Windowsエクスペリエンスインデックスの値にもそれは表われている。Atom N270~280搭載ネットブックの場合、「プロセッサ」の値は「3」程度。対するProBook 4510sは「4.7」もある。この性能差は体感速度にも如実に表われ、OSがWindows Vista Businessでも、起動はそこそこ速いし、Vista全体の動作もきびきびしている。

ProBook 4510sのWindowsエクスペリエンスインデックス

ProBook 4510sのWindowsエクスペリエンスインデックス。特にプロセッサの値はネットブックを大きく凌駕。メモリーの値が高いのは、なぜか試用機がメモリー4GBだったため。ちなみにメモリー4GBでも、価格はプラス1万円程度


モバイル用途を求めないなら
ネットブックよりProBook 4510sを買え!

 ProBook 4510sの売りは間違いなく「低価格」にあるが、“安かろう”でも“悪かろう”ではない。デザインや性能はもちろん、ソフトウェア面にもそれは現われている。

 HDD暗号化やBIOS設定など、マシンの保護に関する機能を統括する「HP ProtectTools Security Manager」や、HDD内の加速度センサーを利用して衝撃からHDDを保護する「HP 3D DriveGuard」といった機能は、コンシューマーが主なターゲットであるネットブックには、あまり見られない特徴である。特にHDDの耐衝撃保護機能は、ビジネスユーザーには安心感をもたらす機能だ。

「HP ProtectTools Security Manager」

HDD暗号化など、セキュリティーに関する機能を制御する「HP ProtectTools Security Manager」

HDDの耐衝撃保護機能「HP 3D DriveGuard」

HDDの耐衝撃保護機能「HP 3D DriveGuard」

 ちなみにバッテリー駆動時間は最大で約5.75時間(JEITA測定法1.0による)。今回は試用時間の都合上、十分なバッテリー駆動時間テストを行なえなかったが、おおむねカタログ値の0.6倍程度が無線LAN使用時の実動という定石であることから推測すると、4時間弱くらいは使えそうだ。これも大抵のネットブックを上回っている。

 重さも15型級にしては重くなく、カタログ値では約2.5kg、光学ドライブを持たない評価機は実測で約2.37kgと、たまの出張や社内モバイル程度なら十分持ち歩ける重さに収まっている。

 くどいようだが、これだけの要素を詰め込んだビジネスノートが、6万4890円で買えるのだから驚きだ。さらに本稿執筆時点では、最小構成よりスペックの高いモデルが、キャンペーン価格の4万9980円で販売されている。より高い性能を求めるなら、Core 2 Duo P8600(2.40GHz)や同T9600(2.80GHz)も選べるし、CPUにAMD Sempron SI-42(2.1GHz)を搭載する姉妹機「ProBook 4515s/CT」なら、さらに安い5万9850円で販売されている。

 断言できるが、常時携帯のモバイル用途を求めないのなら、ネットブックを買うよりProBook 4510sを買った方が仕事の効率も上がり、はるかに高い満足を得られるはずだ。派手な魅力のある製品ではないが、実用性の高い機能や仕様を盛り込んでこの価格というのは、正直「こりゃあ、かなわないな」と思う。デザイン面も悪くないので、ビジネスユーザーのみならず、個人で購入してもいいだろう。「安さが取り柄のビジネスノート」と見逃すのはもったいない製品である。

ProBook 4510s(最小構成)の主な仕様
CPU Celeron T1600(1.66GHz)
メモリー 1GB
グラフィックス Intel GL40 Expressチップセット内蔵
ディスプレー 15.6型ワイド 1366×768ドット
ストレージ HDD 160GB
光学ドライブ なし(搭載可能)
無線通信機能 なし(搭載可能)
サイズ 幅372×奥行き250×高さ32~40mm
質量 約2.50kg
バッテリー駆動時間 約5.75時間
OS Windows Vista Home Basic SP1
価格 6万4890円

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