
家電量販店で今最も注目されている商品が格安のネットブックとそのセットで販売されている無線データ通信カードだ。無線データ通信サービスに契約すると、ノートPCを使って、どこでもインターネットに繋げられるし、また自宅での回線としても利用できる。
しかしいざ契約しようとすると、色々な事業者がさまざまな料金体系でサービスを提供している。どのサービスを選べばいいのか、そのための基礎知識となる現在のトレンドを、まずは見ていこう。
トレンドその1 まだまだ高速化するスピード
現在の主流はおおよそ1~4Mbps
Webサイトで情報を集めるのには十分
無線データ通信サービスで、まず注目されるスペックが、「通信速度」だろう。
現在もっとも使われているのが「HSDPA」と呼ばれる一般の携帯電話と同じ通信規格。下りは最大で3.6Mbpsまたは7.2Mbpsの速度を持つ。無線データ通信では、実測での速度はスペック値より割り引いたものとなるため、おおよそ1~4Mbps程度の速度で通信を行なえる。
各社のサービス一覧
3G系サービス | |||
---|---|---|---|
通信規格 | 下り | 上り | |
イー・モバイル | HSDPA(HSUPA) | 3.6/7.2Mbps | 384kbps/1.4Mbps/5.8Mbps |
イー・モバイル(HSPA+) | HSPA+ | 21.6Mbps | 11.5Mbps(端末は5.8Mbps) |
NTTドコモ | HSDPA(HSUPA) | 7.2Mbps | 384kbps/5.7Mbps |
au | CDMA2000 1x EV-DO Rev.A | 3.1Mbps | 1.8Mbps |
PHS | |||
通信規格 | 下り | 上り | |
ウィルコム | PHS | 204~800kbps | 204~800kbps |
次世代サービス系 | |||
通信規格 | 下り | 上り | |
UQ WiMAX | WiMAX | 40Mbps | 10Mbps |
WILLCOM CORE XGP | XGP | 20Mbps | 20Mbps |
「Mbps」の回線が定額で提供されると
ネットの使い方が変わってくる
2007年3月末、イー・モバイルが定額料金制でこのHSDPAによる無線データ通信サービスを開始し、大きな話題となったことは記憶に新しい。そして、それまでは従量制でしかサービスを提供していなかったNTTドコモなども追従する。まさにモバイルブロードバンドの始まりと言える瞬間だった。
というのも、イー・モバイル以前の無線データ通信サービスは64kbpsや128kbpsといった「kbps」の世界だった。このレベルの通信速度では、テキストベースでメールなどを使うには十分でも、Webサイトを次々と見ていく用途には少々厳しいものがあった。
このような無線データ通信サービスの変化は、有線でのそれを後追いしている。2001年頃からADSLが本格的に普及し、日本のネット接続は「通信料の定額」「常時接続」が当たり前になった。そのときユーザーとインターネットの関係は大きく変わった。今の無線データ通信サービスもまさにそういう段階にある。この流れに乗り遅れる手はないと言える。
2009年の後半以降は
10Mbpsオーバーのサービスが続々と
とはいえ、無線データ通信サービスの進化は止まることはない。たとえば、現在主流である「下り最大7.2Mbps」のデータ通信サービスでもWebサイトを見る程度ならまったく問題ないが、高画質な動画ストリーミングサイトを楽しむのには少し物足りない。
しかし今年の後半以降、「UQ WiMAX」「WILLCOM CORE XGP」といった新世代のサービスが登場する。またイー・モバイルはHSDPAを進化させた「HSPA+」と呼ばれる規格を採用することで、実測10Mbpsオーバーのサービスを開始しようとしている。
これらのサービスが本格的に展開されるようになるのにはもう少し時間がかかりそうだが、全国でこれらのサービスが利用できるようになれば、今後は自宅のPCと同じ使い方を、モバイル環境でもストレスなくできるようになるだろう。

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