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アクセス解析の基本「トラフィック分析」 (3/4)

2009年06月23日 14時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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アクセス解析はトラフィック分析から始めよう

 Google Analyticsを使う目的は、マーケティングの投資効率を高め、ビジネスを改善することです。しかし、解析対象のWebサイトがどんな姿をしているのか分からなければ、個々の指標に着目して、「上がった」「下がった」「良くなった」「悪くなった」を言っても意味がありません。Webサイト解析の基本モデルを頭に入れて、指標の意味を他の指標との関係で理解し、Webサイト全体の姿を把握しましょう。

 とはいえ、Google Analyticsには解析対象のWebサイトがどんな姿をしているのかを表示する機能がありません。そこで、私がASCII.jpの社内研修用に作ったサマリーシートを紹介します。

トラフィックサマリーシート
トラフィックサマリーシート。画像クリックでPDFをダウンロードできます

 トラフィックサマリーシートにGoogle Analyticsの指標を記入すると、Webサイトの全体を把握するための指標と、トラフィック別の指標に違いがあることが実感できますので、アクセス解析の初心者でもWebサイトの全体像を把握できます。グレーの「サイト全体」の部分はGoogle Analyticsの「ユーザー」→「概要」にある「ユーザーサマリー」レポートの指標を記入してください。ノーリファラートラフィックは「トラフィック」→「ノーリファラー」、参照トラフィックは「トラフィック」→「参照サイト」、検索トラフィックは「トラフィック」→「検索エンジン」のレポートで該当する指標を記入してください。

 すべての指標を記入すると、セッション中のユーザーの行動が、Webサイトへの流入経路ごとに異なることが分かるはずです。以下は、ASCII.jpのあるサブドメインの指標です。

ノーリファラー 参照サイト 検索エンジン 全体
セッション数 3,252 8,621 3,394 15,267
全体に占める割合 21.30% 56.47% 22.23% -
ユニークユーザー - - - 10,776
ページビュー - - - 28,934
平均サイト滞在時間 56秒 58秒 1分7秒 59秒
直帰率 73.80% 67.31% 67.24% 68.68%
平均ページビュー 1.64PV 1.85PV 2.24PV 1.89PV
新規セッション率 45.82% 63.87% 69.86% 61.30%

 このサブドメインはまだ若く、ユーザーにあまり浸透していません。それでも、ノーリファラーの直帰率が全体の直帰率よりも若干高く、「常連客がコンテンツの更新を確認するために訪れているので、1ページの閲覧で終了するセッションが多くなり、直帰率を高めているのではないか?」という仮説が立てられます。この仮説は、ノーリファラーの平均ページビューが全体よりも少し低く、ノーリファラーの新規セッション率が全体よりも明らかに低いことから蓋然性が高いといえるでしょう。

 一方、参照サイト経由のトラフィックは全体の約56%を占めており、全体よりも直帰率や平均ページビューがやや少なめであることから、「参照されているのはトップページで、個別のコンテンツは読まれていない」と推定できます。また、参照サイトよりも検索エンジンからのトラフィックの方が、平均サイト滞在時間が長く、平均ページビューが多く、新規セッション率が高めであることから、「検索エンジンでユーザーが調べているキーワードと、コンテンツの相性がよい」という仮説も立てられます。

 こうして指標を眺めながら、「トップページ以外で参照されているのはどのページなんだろうか?」「どんなキーワードで到達することが多いのだろうか?」という好奇心が生じたら、それがWebアクセス解析の入り口です。いらっしゃいませ。

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