Webトラフィックの基本モデル
Webトラフィック(traffic:往来)とは、客層の違い、目的の違いをユーザーがWebサイトを訪れるきっかけごとに考えるためのモデルです。訪問のきっかけとは、
- ブックマークやメールマガジンで、URLを直接指定した……ノーリファラートラフィック
- ブログや掲示板などのリンクをたどってきた……参照トラフィック
- GoogleやYahoo!などの検索エンジンで調べた……検索エンジントラフィック
の3つのことです。実店舗に訪れる客を、「常連客」「紹介客」「一見客」に分類するように、「ノーリファラー」「参照」「検索エンジン」に分けて計測します。
ブックマークやメールマガジン経由で訪れるノーリファラートラフィックは、元々そのWebサイトの存在を知っている常連客です。Webサイトへの忠誠心はもっとも高いと考えられます。
ブログや掲示板などのリンクをたどって来る参照トラフィックは、常連客からの紹介によって訪れる紹介客です。常連客が自分のブログに書いたり、掲示板に投稿したり、他のWebサイトで掲載されたりしたリンクをたどって訪れます。リンク先のコンテンツに興味を持って訪れますので、気に入ればたくさんのコンテンツを読んでくれますが、期待に反するコンテンツであればすぐに帰ってしまう怖い存在です。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで調べて訪れる検索エンジントラフィックは、他の場合よりも目的意識が強い一見客です。目的に合致したコンテンツがあれば読んでくれますが、そうでなければすぐに帰ってしまいます。
あるユーザーがどこかのページの閲覧を開始してWebサイトを訪れてから、別のWebサイトのページに移動したり、Webブラウザーを閉じたりして閲覧を終了するまでを「セッション」と呼びます。実店舗で言えば、店に入ってから出ていくまでが1つのセッションです。
Webサイトのアクセス解析は、トラフィックの種類とセッション中のユーザーの行動を把握することが基本であり、以下のようなモデルを頭の中に入れておかないと、指標を眺めるだけで精一杯になってしまいます。
「最初のページを読み始めてから、最後のページを読み終えるまでがセッションということは分かるのですが、セッションとトラフィックの関係がよく分からないです」――いきなり専門用語がたくさん出てきたので、混乱させてしまったかもしれません。Webサイトをレストランに例えて、説明しましょう。
トラフィックとは、レストランに訪れるきっかけのことです。常連客ならもともと知っているし、紹介客なら「カボチャのスープが最高」と聞いて訪れたのかもしれません。一見客なら、雑誌の「中華街のレストラン特集」で調べて訪れたのかもしれません。
常連客だからたくさん料理を注文してくれるわけではありません。いつも通りの料理を注文して、さっさと帰ってしまいますが、不満があるわけではないのできっとまた来てくれます。
「カボチャのスープが最高」と聞いて訪れた紹介客は、スープがおいしければ、他の料理も注文してくれるでしょうが、まずければ帰ってしまい、2度と来てくれないでしょう。
「中華街のレストラン」でお店を見つけて訪れた一見客は、期待通りの中華料理であれば一通り注文して帰るでしょうが、実は中華街にあるフランス料理店であれば、入ってすぐ、何も注文せずに帰ってしまうでしょう。「中華街のレストラン」でユーザーが期待しているのは中華料理であって、フランス料理ではないからです。
Webの利用目的は、暇つぶしにコンテンツをだらだら見たり、興味のあること、欲しい商品の詳細を調べたり、ある条件に合致する情報や商品を探したりなど、いくつかに分類できます。トラフィックの違いがセッション中のユーザーの行動の違いに反映されるのは、ユーザーがWebサイトに期待しているコンテンツが異なるからです。セッション中に何ページ見たか、だけではなく、トラフィックごとにセッション中の行動を見ることで、ユーザーが望むコンテンツとWebサイトが提供するコンテンツのギャップに気づくことができ、それがWebサイトの問題やチャンスの発見につながるのです。