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都庁前iPhoneクラブ 第9回

都庁前iPhoneクラブ・新OS 3.0は堕落だっ!の巻

2009年06月21日 16時00分更新

文● 都庁前iPhoneクラブ製作委員会

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Androidは、iPhoneをパクり切れていない

カリー:時間軸で見ると、iPhoneの前にiPodがありましたが、そこで「Mac出直し」って感じじゃないんですかね?

ゴールド:んー。iPodで言うと、アップルにとってラッキーだったのが、たまたま音楽プレーヤーをやったら成功して、「コンピューターの会社」として積み上げてきたことをリセットできたってことだと思う。

 ある種、そこで初心に帰れたから、シンプルな音楽プレーヤーをケータイにするとどうなるか、それにメールとかPIMをどうやって乗せればいいのかと考え直すことになった。初代MacとiPhoneって、アップルを取り巻く環境が何か似ているんですよ。

 iPodでもうひとつラッキーだったのは、「くるくる」タッチホイールを採用したときに、操作性ですべて乗り切れるということに気がついたってこと。iPhoneでは「くるくる」を捨ててタッチに移行したけど、要はタッチパネルで多少のストレスを与えたり、使いにくいと言われても、ユーザーは受け入れてくれるんじゃないかと。iPhoneの価値は、そうした思い切りのよさにもあるよね。

 まぁ、Androidは、それをパクろうとしたんだけど。

カリー:パクったんですか!

HT-03A

夏モデルとしてドコモから発表されたHTCの「HT-03A」

ゴールド:や、パクり切れていない。Androidも、普通にユーザーが使う分には、ファイルを見せないようにしているんだけど、残念ながら、心がまだコンピューターなんだね。アップルのワンボタンマウスとサンの3ボタンマウスみたいな違いで、操作でも何か負担がある。

 Macのワンボタンマウスとか、iPhoneのひとつしかないホームボタンのように、「多少遠回りでも1コの方が美しいよね」というのがアップルの考え方なんだよね。一方でAndroidは、プログラマーが考えたようなOS。

 それでもAndroidもすごくて、強力なオープンソース系のパワーを味方に付けている。アリストテレスの言葉に「自然は真空を嫌う」ってのがあってですね、空間が空いたら何かが入り込むエネルギーが生まれるんですよ。これはある種、世の中を動かしている根本原理で、コンピュータで言うと「隙間があれば誰かがプログラムを書いちゃうぞ」ということなんですよね。

 一方でアップルはiPhoneで、デベロッパーを統制してその方向性を決めるということをやっていますが、これは「崩壊前のソ連の計画経済」のようなものではないですかね? 確かにソフトを開発して乗せられるということで喜んでいる人たちは多いし、ユーザーも遊ばせてもらっているんだけど、巨大な枠組みの中で、コロニーとして生息させてもらっているようなところがある。

 それで、思い出したのは、僕のiPhoneのイメージって「メンコ」なんだよね。

カリー:メ、メンコ!?

ホーム

コレクションしたメンコが並ぶiPhoneのホーム画面

ゴールド:少年がメンコを集めるような……。アメリカでいえばベースボールカードをコレクションする感覚を、iPhoneの世界で提供している。「手のひらの中の宇宙」みたいなところを目指しているんだよね。

 App Storeでアプリを自分の端末の中にダウンロードして、引きこもるように自分の世界を作るというか、ここは、グーグルとは方向性がまったく逆ですよね。

 グーグル的な何でもあからさまにさらす世界とアップルワールドの戦い。コンピューターの歴史を見てくると、まったく種類の違う、脊椎動物と非脊椎動物の戦いが続いているという感じですね。ってなことで、未来のコンピューターをいろいろ思考する意味では、iPhoneに価値はあるわけですよ。

シルバー:俺はAndroidは多分失敗すると思っています。オープンソースという強みはあっても、iPhoneとは違って、ソフト/ハードの両方を押さえていないのはダメでしょう。

 マウス/キーボードでの操作体系が確立したパソコンならオープンソースによる開発もありかと思うけどね。最初に出てきたハードがあれじゃ……。と、いいながらもゴールドさんが持っていた実物を見ると、これはこれでいいものかなと思ってもしまったけど。

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