結局は自分たちも「クソ」だったわけですよ
―― その「誇りを持てていなかった」ということが2ちゃんねるで自社のゲームを「クソゲー」と呼ばれていたことにつながってくるんでしょうか。
加藤 まあ、クソゲーはクソゲーですよね。作り込みが甘いものを、作り手として世に出していいのかということを最近になって強く思いはじめました。もちろん中にはいいものもあります。ぼくも「燃えろ!!プロ野球」などを見ていると、当時としてはよく出来ているなと感心するところがありますよ。
ただ、最近のゲームは自分で見ていてもビックリしますよ。本当に売れると思って作っているのかと。それは作り手というより「アーティストぶってしまった」スタッフによる責任だと思っています。
当たり前ですが、私たちはビジネスをしているのですから利益を上げなければやりたいことはできないんです。今の社員にも事あるごとにそう言っています。ゲームメーカーである前にビジネスをやっているんだと。その意味でいえば、11年間つぶれなかったことが逆に奇跡ですよね。
―― なぜスタッフたちは「アーティストぶった」態度になってしまったんでしょう。
加藤 ジャレコには長いこと在籍していた役員もいれば、外部から来た役員もいました。その役員を含めたスタッフが腹を割って話せていなかったんですね。なあなあというか、上品ぶっている。「本当にこれは売れているのか」を知ろうとしない。「いいね、いいね」と仲間内だけで盛り上がって、ゲームを世に出してしまう。そういったことが積み重なったのではないかと思います。
たとえば一般ゲーム雑誌のレビュー記事を読めば、優れたものには良い点、悪いものには遠慮なく厳しい点をつけられているわけですよね。そういったものを見ようという努力さえしないで済ましていたことが、この結果を招いたんだと思います。
―― 最新タイトル「黄金の絆」についても「クソゲー」と思われていますか。
加藤 まあ、クソですよね。あれをクソと言わずして、何をクソと言うのかってことです。上品に「よくがんばってくれました」なんていうのはウソでしかないですよ。
といっても、それは開発会社のせいにしているわけではなく、結局は「自分たちもクソ」だし、それを世に出してしまった自分こそクソだったんだと思っています。
だから二度とこんなことはしないように、もう一度同じチームでチャンスを作るから、もう一回やろうよと。そして逆にユーザーや私を見返してくれと思っています。
―― なぜそこまでの「クソゲー」になってしまったんですか。
加藤 要はプロ意識がまったくなかったということですよね。満足いかないクオリティのまま世に出そうとしてしまう生ぬるさが原因です。当初の計画から半年遅れで進行して、それであのレベルですよ。こちらは数億円の投資をしているわけですから、それを何に使ったんだコノヤロウということになる。
とはいえ、そんなことばかりを僕が何度も言っていると制作会社に仕事が来なくなるかもしれない。でもそのとき、もう一度私がチャンスを作るから、同じチームで見返してやろうよと。彼らは、そこで諦めてしまうようなレベルのスタッフじゃないと思っているんです。